名大ら,超高高度にオーロラ粒子の加速領域を発見

名古屋大学,台湾Academia Sinica(中央研究院),宇宙航空研究開発機構(JAXA),金沢大学,東北大学,京都大学,米UCLAらの共同研究グループは,オーロラアーク上空において,高度30,000km以上もの超高高度まで広がるオーロラ電子が加速されている領域を発見した(ニュースリリース)。

ジオスペース探査衛星「あらせ」はその独特の軌道により,過去の人工衛星があまり観測を行なったことがない領域を飛翔している。

「あらせ」は本来,地球の放射線帯の高エネルギー電子の加速・消失メカニズムの解明を主なターゲットとした衛星だが,非常に高い角度分解能を持った電子観測機器を搭載しているほか,総合的な宇宙プラズマの観測機器を搭載しているため,オーロラ加速域に特徴的な電磁場,粒子の振る舞いを高い精度で検知することもできる。

今回,広域視野と高空間分解能をもった米THEMIS全天カメラネットワークによってオーロラアークが観測されているときに,「あらせ」が高度約 30,000kmで観測するというきわめて稀な同時観測が実現し,「あらせ」のいる超高高度でも電子が加速されているのか,加速された電子が実際にオーロラの発光領域まで降り込んでいるかどうかを見るユニークな機会を得た。

その結果、これまで数百から数千 km の低高度で観測されてきた典型的な加速域の特徴と非常によく似た粒子、電磁場の変動が、オーロラアークに繋がる磁力線の高度 30,000km 付近もの超高高度でも発見されるという予想外の結果がもたらされました

さらに,「あらせ」の低エネルギー電子分析器「LEPe」のもつ高角度分解能チャンネルにより,下向きに加速された電子がオーロラ発光高度で消失し,対応する上向き電子が欠損する様子を高高度で初めて捉えた。

これらの結果から,これまで考えられていた高度より遙かに高い高度にわたりオーロラ加速域が広がっており,非常に高い高度から加速されてきた電子が観測されたオーロラの発光領域まで降り注いでいることが初めて明らかになった。

この発見は,オーロラの電子は数千km高度で加速されているという過去50年にわたって信じられてきた定説を覆すもので,オーロラ発生機構に新たな謎をもたらすものだという。

研究グループは今後,超高高度加速域の謎を解き明かすことで,木星や土星でのオーロラや,パルサーなどの天体磁気圏における電子の加速メカニズム過程の解明にも大きく貢献することが期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • エイブリックら,オーロラ観測用紫外線カメラ開発 2021年09月30日
  • 金沢大ら,フラッシュオーロラの形状変化を解明 2021年07月08日
  • 京産大ら,HDSで彗星のCO2の存在量比を解明 2020年04月14日
  • 極地研ら,日本最古の天文記録はオーロラと裏付 2020年03月16日
  • 電通大ら,オーロラで電磁波の「さえずり」観測 2020年03月06日
  • 極地研ら,中間圏で高エネルギー電子を検出 2019年12月04日
  • 東北大ら,赤外線カメラでオーロラの木星大気加熱を解明 2019年04月11日
  • 極地研ら,オーロラ爆発で低高度に侵入した電子を観測 2019年02月12日