JAXAら,水星へと降り込む電子を直接観測

JAXAを中心とする研究グループは,水星スイングバイ観測を行ない,電子を惑星近傍で直接観測することに成功し,さらに磁気圏内で加速された電子が水星の表面に降り込み,地表面がX線で発光する現象を引き起こすことを示唆した(ニュースリリース)。

水星磁気圏は地球と比べて小さく太陽風の変化に敏感に応答することがわかっているが,このような環境下でどのようにどれだけ加速がおき,どれほどプラズマが磁気圏内で輸送されるのかはわかっていなかった。

特に,加速されて惑星へ向かって降り込むプラズマは,地球においては大気と衝突してオーロラを引き起こす。一方,水星はごく薄い大気しか持たないために,プラズマが惑星へ降り込む場合,大気と衝突することなく地表まで到達し,水星表面の物質と衝突して蛍光X線を出すことが予測されている。

ミッションは,ESAが主導する水星表面探査機MPO(Mercury Planetary Orbiter)及びJAXAが主導する水星磁気圏探査機「みお」の2機から成り,歴史上初めて地球以外の惑星に2つの周回探査機を同時に送りこむ。

水星スイングバイ中,探査機は水星の夜側北半球から接近し,南半球朝方付近で水星に最接近したのちに南半球昼側磁気圏を観測して太陽風へと抜けていく軌道を取った。

このスイングバイではさまざまな運用上の制約によりデータに時間的な空白が生じているものの,「みお」は磁気圏の構造を示す境界を捉えることに成功し,スイングバイ当時の水星磁気圏は平均よりも圧縮されてコンパクトな状態であったことが確認された。

この圧縮された磁気圏内においてはさまざまな物理過程が観測されたが,特に,最接近後,朝側の磁気圏で高エネルギーの電子(1-10keV)のフラックスの増強が準周期的(30−40秒)に観測された。

これらは詳細な解析によって電子フラックス増強の周期が過去報告されたものと一致しないこと,また,電子フラックスの増強が高エネルギーから始まり低エネルギーに移行する挙動を示していることがわかった。

これらの結果から,この観測が捉えたのは過去に観測されていたものとは異なる現象であることがまず示され,また,磁気圏モデルを用いて電子がどこから輸送されてきたかを調べることにより,今回の電子の挙動は特に,朝方の磁気圏尾部で起こるプラズマ過程に起因する電子の加速・輸送によって引き起こされたものである可能性が高いことを発見した。

研究グループは,どの惑星においても加速された電子は惑星近傍まで輸送され,降り込むことが可能であり,これらがオーロラ生成過程として普遍的なメカニズムであることを証明したとしている。

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