名古屋大学,名古屋大学医学部附属病院,北里大学,がん研究センター中央病院,広島大学は共同で,子宮頸がん治療用チューブ内にある高線量率小線源治療の線源を外側から可視化することに成功し,新たな品質保証ツールを開発した(ニュースリリース)。
がん治療法である高線量率小線源治療は副作用が少なく,子宮頸がんなどに集中して高い線量を投与できる。
この治療では,放射線を出す米粒大の微小な線源を専用のチューブ等を通して,がん近くまで運び,体内からγ線を当てる。治療の安全な実施のため,治療前の検証で,治療チューブ内での線源位置を目で見て分かりやすい品質保証ツールが切望されていたが,従来の方法は煩雑だった。
この研究では,192Irγ線源によって照射された治療チューブ(プラスチック製)の発光(チェレンコフ光)をCCDカメラを使用して撮影し,発光画像を得ることに成功した。
この方法では,一枚の発光画像を使用して,治療時と同じ線源位置をチューブの外側から簡単に測定することができる。これにより,事前に医師の指示した線量が正確に処方できるかが確認できるようになったという。
この研究成果は,線源動作エラーを未然に発見することで,さらに安全ながん放射線治療に寄与すると期待される。また,治療器具そのものからの発光を,広くがん放射線治療の簡便な品質保証法に適用できる可能性を示すことができるため,さらなる応用が期待されるとしている。