東大,134億光年先の最も遠い銀河を分光で同定

東京大学は,銀河GN-z11から3本の紫外線輝線を検出し,この銀河が134億年かなたにある銀河であることを確定した(ニュースリリース)。

宇宙で最初に生まれた銀河を探るため,人類はこれまで最も遠い銀河を探し続けてきたが,最近ではGN-z11という銀河が注目を浴びている。

この銀河はハッブル宇宙望遠鏡によって発見され,遠方銀河に特徴的なスペクトルの段差らしきものが見つかったことから,おそらく約134億光年先の銀河だろうと推測されていたが,地球からの正確な距離は測定されていなかった。

今回,研究グループはアメリカのケック望遠鏡(口径10m)に装備された最新鋭の近赤外線分光器を用いてこのGN-z11を観測し,炭素イオンと酸素イオンが放つ光を検出することに成功した。この結果,この銀河が134億光年(赤方偏移10.957)かなたにある銀河であることが判明した。

これはこれまで観測された銀河の中で最も遠い距離となるもの。今回検出された炭素と酸素の光は現在の銀河には見られない特殊な物理状況を示唆しており,太陽の10億倍という星の総質量と,たった7000万年という若い年齢が推測されることから,この銀河は生まれてから急速に成長したことが考えられるとしている。

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