NEDO,「省エネルギー技術開発賞」を表彰

理事長賞を受賞した(株)FLOSFIA

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2020年度「NEDO省エネルギー技術開発賞」として,2019年度までに事業終了を迎えたテーマのうち,優れた成果を挙げた6テーマ10事業者を表彰した(ニュースリリース)。そのうち2つのテーマが光技術によるものとなった。

NEDOは2030年度に原油換算で1,000万klのエネルギー消費削減を目標に掲げ,民間企業などから省エネルギーに寄与する技術開発テーマを公募して開発費の一部を助成する「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」を実施している。

このプログラムの終了後も事業者が研究開発を継続し,当該技術の迅速な社会実装につなげてもらうことを目的に,NEDOは2018年度に日本の省エネルギーに寄与する革新的な技術開発を評価・表彰する取り組みを始めた。

今回,その第3弾として,同プログラムで2019年度まで支援したテーマのうち優れた成果を挙げ,実用化への道筋を付けた6テーマを「NEDO省エネルギー技術開発賞」として選出,彰式を行なった。

2つの光関連受賞技術のうち,NTTエレクトロクスの「コグニティブ超低電力光インターフェースの開発」は,データセンターの電力問題が顕在化する中で,次世代の400Gb/sの高速動作(約3本の映画を1秒で伝送)を行なう超低電力光インターフェースを実現する技術。

具体的には,①LSI微細化技術を最大限に活用する統合設計技術,②伝送品質に応じて消費電力を最適化するコグニティブ制御技術,③信号処理インターフェースLSIを小型な光トランシーバーに実装する技術の開発。

7nm製造プロセスによる信号処理インターフェースLSIを試作し,400Gb/sにおける消費電力を従来技術の1/10に削減するとともに,伝送品質に応じて変調方式等を自律的に最適化するコグニティブ制御により,ネットワ-ク全体で必要となる伝送パス数を半減し,消費電力を従来技術の1/20に削減した。

また,信号処理インターフェースLSIを小型な光トランシーバー実装し,従来技術比1/7に相当する約20W(@400Gb/s)の低消費電力動作を確認したという。これらの技術により,原油換算で2022年度に0.2万KL/年,2030年度に6.8万KL/年の省エネルギー効果を狙う。

もう一つの,東レが受賞した「革新的省エネルギー次世代積層遮熱フィルムの開発」は,夏場の工アコンの電力負荷低減に向けたもの。

窓から流入する太陽光の赤外線を防ぐため,超高精度なナノ積層技術を駆使して,太陽光に含まれる赤外線を幅広く反射する革新的な遮熱フィルムを開発するとともに,窓材として用いた際の省エネルギ-効果の評価技術を構築し,窓材用の設計指針確立を目指す。

開発した遮熱フィルムは,新規光学設計技術,特殊積層技術,ポリマー設計技術等を融合することで,太陽光に含まれる赤外線への反射帯域を広げ,ガラス並みの透明性と世界最高レベルの遮熱性の両立を実現した。さらに,従来の窓貼りフィルムと同様の加工性を有するという。

この開発品を窓材として,実際の建物に施工した際の省エネルギ-性能は,工アコンの冷房負荷としてクリアガラス対比39%の削減がみられ,一般的な市販品と比較しても有効性を確認した。これにより,2025年に14万KL/年,2030年:78万KL/年の省エネルギー効果を目指すとしている。

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