島津製作所は,フーリエ変換赤外分光光度計プラスチック劣化評価システム「Plastic Analyzer」の販売を開始した(ニュースリリース)。価格は390万円~(パソコン・プリンター,ATRなど込みの標準構成,税別)。
このシステムは,フーリエ変換赤外分光光度計「IRSpirit」,「加熱劣化プラスチックライブラリ」,「紫外線劣化プラスチックライブラリ」(新発売),「Plastic Analyzerメソッドパッケージ」(新発売),IRSpiritシリーズ用1回反射ATR測定装置「QATR-S」で構成されている。紫外線や加熱によって劣化したマイクロプラスチックや異物などの測定に必要なハード・ソフト一式がオールインワンとなっているというもの。
フーリエ変換分光光度計(FT-IR)は,試料を透過あるいは試料から反射した赤外光を検出し,フーリエ変換処理によって波長成分を得る装置。物質の同定や定量,化学構造の推定などに適している。生産ラインなどで発生するプラスチック系の異物については,その異物が何であるかの同定を行ない,混入経路の推定や対策立案のために通常FT-IRを用いるが,熱や紫外線で劣化したプラスチックは,FT-IRスペクトルが変化しているため正しい同定ができないという。
この対策として,同社は2016年に「加熱劣化プラスチックライブラリ」を発売。今回発売する「紫外線劣化プラスチックライブラリ」は,紫外線によって劣化したプラスチックの同定に対応できるデータベースとなる。両ライブラリを含む「Plastic Analyzer」は,従来の異物分析の同定精度を大きく改善させた製品で,近年関心が高まっている海洋を浮遊するマイクロプラスチックの分析にも有効だとしている。