北大ら,鳥類の繁殖活動への人工光の影響を調査

北海道大学と米カリフォルニアポリテクニック州立大学は,アメリカ全土における142種の鳥類の繁殖活動に人為騒音と人工光が大きく影響していることを明らかにした(ニュースリリース)。

近年,多くの研究が鳥類を含む動物の行動への騒音と人工光の影響を明らかにしてきた。騒音と人工光による影響が動物の繁殖活動にまで及ぶのかどうか,もし及ぶならその影響は広域的なのか,他の環境要因と比較してどの程度の影響なのか,どんな特徴を持つ動物が影響を受けやすいのか,といったことはわかっていなかった。

研究グループは,アメリカ全土で市民科学者によって収集された鳥類の繁殖活動データと高解像度の人工光・騒音の空間分布図を用いて,上記の問いの解明を試みた。

具体的には,鳥類全種,森林性鳥類,開放地性鳥類の3グループそれぞれについて,5つの繁殖活動の指標(抱卵開始日,一腹卵数,部分孵化率,抱卵放棄率,繁殖成功率)への騒音と人工光の影響を統計モデルによって定量化した。この際,緯度,都市化指数,人口密度などの広域的な鳥類の繁殖活動に影響する環境要因を統計モデルに含めることで,騒音・人工光とその他環境要因の相対的な影響度を比較した。

解析の結果,鳥類全種を含むモデルでは,すべての環境要因について明確な影響は検出されなかった。一方,森林性鳥類と開放地性鳥類に対しては,騒音と人工光の複雑な影響が検出された。

まず,静かな環境と比較して大きな騒音に晒された環境では,森林性鳥類の一腹卵数と繁殖成功率がそれぞれ約12%および約19%低下しており,抱卵放棄率も約15%増加していた。

さらに,暗い環境と比べて強い人工光に晒された環境では,開放地性鳥類及び森林性鳥類の双方の抱卵開始日が3~4週間早くなっており,森林性鳥類の一腹卵数が約16%増加していたことがわかった。これらの騒音と人工光の影響の大きさは,緯度や都市化指数,人口密度といった他の環境要因の影響力に匹敵するという。

この研究により,アメリカにおける鳥類群集の繁殖活動に対する騒音と人工光の影響が広域に及ぶことが初めて明らかになった。こうした鳥類の繁殖活動の変化は,従来,気候変動によって生じると考えられてきたが,研究結果は,騒音と人工光がそうした気候変動の影響を打ち消したり,逆に促進したりする可能性も示している。

そのため,将来の気候変動下での生物多様性保全戦略でも,騒音と人工光の影響を考慮する必要があるという。さらに,こうした騒音・人工光による生物への影響は,都市や道路網が発達した日本では,その国土の大部分が騒音と人工光の影響下にある可能性が高く,無視できないとして,日本でも騒音と人工光による生物への影響の程度を明らかにしていく必要があるとしている。

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