矢野経済研究所は,車載用ディスプレー世界市場を調査し,市場動向,メーカー動向、価格動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,2019年の車載用ディスプレー世界市場(純正品および市販品を含む,メーカー出荷数量ベース)は前年比96.9%の1億6,125万枚と,自動車生産台数減少の影響から前年割れとなった。
2020年は前年の反動もあり,当初プラス成長が見込まれたが,新型コロナウィルスの影響で欧州を中心とした各国の自動車生産工場の稼働中止が続いたことから,2020年の車載用ディスプレー世界市場規模は前年比82.9%の1億3,367万枚に減少すると予測した。
一方で,新規に採用開始されたDigitalCockpit(統合コックピット)や,HUD(Head-up Display),Side Mirror向けの車載用ディスプレー,AM-OLEDやMini/Micro LEDの次世代ディスプレーは,2020年においても新型コロナウィルスの影響をそれほど受けずに二桁成長が続くと予測するものの,2020年時点でこれらの新規マーケットは車載用ディスプレー世界市場で占めるウェイトが低いため,全体市場をプラス成長に押し上げる材料とはならない見込みだとした。
DigitalCockpit(統合コックピット)は,コスト面や生産面から12.3インチパネル2~3枚を搭載しワイドスクリーンを実現するマルチディスプレー画面の採用が,DigitalCockpit向けディスプレーをリードしていくと予測し,車載用ディスプレーにおけるDigitalCockpitの採用拡大は,大型車載用ディスプレー,マルチディスプレー市場を成長させる要因となると見る。
なお,AM-OLEDディスプレーはエンタメパネルの他,現在は大型CID,Cluster向けまで採用が拡大しているため,今後DigitalCockpit向け大型マルチディスプレー画面向けでも採用が拡大する見通しでだとしている。
市場の将来展望については,2021年より車載ディスプレー世界市場は自動車世界生産台数の増加に伴い回復に向かうものの,2020年の減少分をカバーできるような急速な回復は期待しにくく,2019年の市場規模に復帰するのは2022年以降となる見通しとした。
2023年以降,車載ディスプレー世界市場は年率約5%程度の成長が続き,2028年の車載用ディスプレー世界市場(純正品および市販品を含む,メーカー出荷数量ベース)は2億1,692万枚まで拡大すると予測した。