ジャパンディスプレイ(JDI)は8月28日,白山工場の土地,建物及び付帯設備等をシャープへ譲渡すると発表した(ニューリリース)。また,白山工場の生産装置を,同社の特定顧客に対して譲渡する最終契約も締結した。
なお,今回のシャープに対する譲渡に伴い,ジャパンディスプレイには営業外収益及び特別利益の計上による利益が約268億円,特別損失の計上による損失が最大で約116億円生じる見込み。
ジャパンディスプレイは,業績と財務の改善施策一環として白山工場の稼働を2019年7月から停止していた。その後,顧客需要の動向を踏まえて再稼働を検討していたが,顧客から支援の一環として,白山工場の生産装置の一部を購入する提案がされており,同工場の他の固定資産についても譲渡を検討していた。
その結果,白山工場全体の譲渡について,①稼働停止中にも生じている生産装置・設備の維持管理費用や固定資産税等の費用の削減につながる ②同工場建設の際に受領した顧客からの前受金の返済を可能 ③不稼働資産及び負債削減によるバランスシートの改善が期待でき,自社で維持するよりも企業価値向上につながる,と判断した。
一方,白山工場の約2倍の生産能力(第6世代)を有し,OLEDの生産拠点でもある基幹工場の茂原工場(千葉県茂原市)を中心に,核心技術であるLTPS技術を基盤とした高付加価値製品の生産は継続するとともに,今後「技術立社」として競争力の維持,強化に必要な人財,研究開発,設備への投資を積極的に行なうことにより,同社は企業価値の向上の実現が可能とも判断したという。
なお,ジャパンディスプレイの社内カンパニーであるモバイルカンパニー(現モバイル事業部)について,2019年12月末までに子会社化することについて検討を行なうとしていたことについては,これを取りやめるとしたことも発表した。