リコーは,高速生産ラインの速度に追従しながら可変情報印字を可能とする「高出力レーザーマーカー」を開発した(ニュースリリース)。
大量生産する製品のラベルへの印字は版下を用いて同一内容の印字を実施することが一般的な一方,期間限定の販促商品へのラベル印字や,商品の入出庫や配送状況の管理業務などの効率化を支援するトレーサビリティーを実現するためには,個別のデザインやバーコード,QRコードを印字する必要がある。
シリアルナンバーといった英数文字の可変印字は,従来のレーザーマーカーでも可能だったが,画像やバーコード,QRコード等といった複雑な情報の可変画像の高速印字はできていなかった。
開発した高出力レーザーマーカーは,同社が培ってきた複合機のレーザービーム制御技術とサーマルメディアの技術を組み合わせることで,高速・高精細なサーマルメディアへの印字を実現したもの。
具体的には,サーマルメディア層をコーティングしたラベル用のフィルムに,同時に192本のレーザーを照射することで200dpiの高精細な画像を最大毎分300mの速度で印字することを可能とした。また,レーザーマーカーとしては世界最高出力となる2000Wのレーザーにより,10万分の一秒程の超短時間照射でメディアに熱反応を起こすサーマル印字を可能にした。
さらに,独自開発したレーザードライバーにより,192本のレーザーを同時に最高で毎秒8万回の変調制御を可能とした。これらの技術の組み合わせにより,大量生産ラインで商品が高速搬送される速度を落とすことなく,可変印字することを実現したという。
同社では今後,192チャンネル高出力レーザーの高出力,高速、高精細な特長を生かし,印刷紙へのレーザーマーキングやレーザー加工機といった事業展開も視野に入れる。
特にレーザー加工機では,レーザーパワーの高精度制御を応用した接着剤レスの樹脂溶着や,高速変調技術を応用したビーム形状制御・高精度ドット位置制御により板金の溶接・切断や3Dプリンターの品質向上ができるとしている。