オリンパスは,オランダの製薬会社Norgine BVの子会社である英国医療機器メーカー,Arc Medical Design Limitedの株式100%を取得する契約を締結した(ニュースリリース)。
同社がこれまで欧米市場で販売を手がけていたArc Medical Designの主力製品「ENDOCUFFVISION」は,大腸内視鏡の先端に取り付ける機器。円周上にフレキシブルアームを備えた独自のデザインにより,フレキシブルアームが大腸のひだを掻き分け,粘膜を固定することで,大腸内視鏡検査や内視鏡的ポリープ切除術などにおける視認性の維持に貢献する。
今回の契約により,オリンパスはArc Medical Designの製品に関するすべての権利を取得する。同社はこれまでも「ENDOCUFF VISION」について,欧米市場で独占販売契約を有していたが,今後は全「ENDOCUFF」製品群に関する設計,製造,販売,事業戦略を担う。
「ENDOCUFF」の技術を用いた大腸内視鏡検査は,標準的な大腸内視鏡検査と比較して,腺腫検出率(ADR)を最大11%上昇させることが研究により示されているという。この研究によれば,ADRが1%向上するごとに大腸がんのリスクが3%減少するとされている。
「ENDOCUFF」は,腺腫性ポリープの早期発見・治療に貢献していると考えられることから,検出率の向上により,より正確な診断が可能になることで,男女ともにがんの主要な死亡原因となっている大腸がんの死亡数の減少に貢献する可能性があるとする。
オリンパスは自社開発にとどまらず,M&Aを通じて,消化器疾患治療機器のラインアップ拡充や,大腸がんの診断・治療補助デバイスの開発に努めるとしている。