リコーは,独自の光学技術を用い,両眼視タイプとしては世界最軽量となる49gのスマートグラスを開発したと発表した(ニュースリリース)。
メガネ型のウェアラブル端末であるスマートグラスは,パソコンやスマートフォンなどと連携し,現実の視界を見ながら,スマートグラスのディスプレー上にデジタル情報を重ねて表示するもので,医療や建築,工場現場での作業指示や,一般ユーザーの歩行案内などの日常生活支援といった幅広い分野での活用が期待されている。
しかし,これまでの両眼視タイプのスマートグラスの重量は一般的なメガネの3倍以上もするものがほとんどで,短時間の遠隔作業支援などが主な用途だった。オフィスや店舗,工場などでの一般的な業務や,個人での活用には,終日装用しても疲れない軽さと,多様な情報表示のための広い視野角を両立する技術が求められている。
今回同社が開発したスマートグラスは,レンズ部分に独自に開発した薄型・軽量のプラスチック導光板を採用し,重量49gを実現した。さらに,1m先に約30インチの画面が見える広い視野角で,軽量・広視野を両立した。
また,従来のスマートグラスは、ディスプレーユニットがレンズと一体化した構造であるため,鼻に大きな重みがかかることが課題だった。今回同社は,ディスプレーユニットをこめかみ付近に配置できる特殊な光学系を開発し,鼻にかかる荷重を一般的なメガネ程度にすることで快適な着け心地を実現したという。
これらには,同社がこれまでプロジェクターやカメラ等の開発において培ってきた光学技術が活かされているという。また,普段の生活の中で違和感なく着用できるよう,メガネメーカーの協力を得て,一般的なメガネのような親しみやすいデザインにもこだわった。同社はこの技術により,いつでもどこでも必要な情報にアクセスすることが可能になるとしている。