京都大学,国立天文台らの研究グループは,京都大学岡山天文台の「3.8mせいめい望遠鏡」を中心にした連携観測で,恒星表面で発生する大規模な爆発現象「スーパーフレア」を捉えた(ニュースリリース)。
太陽表面で突発的に起こる爆発現象である太陽フレアは,その強い電磁放射や放出される荷電粒子が,通信障害や大規模停電といった多大な影響を地球に与えることがある。そして,さらに大きなエネルギー量のスーパーフレアが,頻度は少ないものの太陽で起こる可能性もある。
一方で,温度の低い恒星ではスーパーフレアが頻発していることが知られている。このような恒星を観測してスーパーフレアを捉えその性質を解明すれば,地球や惑星の環境にスーパーフレアが及ぼす影響を評価することができる。
研究グループは,温度の低い恒星「しし座AD星」のモニター観測を8夜超に渡って行ない,12件の恒星フレアを検出した。そのうちの1件は,最大級の太陽フレアの20倍ものエネルギーを持つスーパーフレアだった。
観測データの解析から,スーパーフレアは太陽フレアと同様のメカニズムで起こること,増光を引き起こす高エネルギーの電子の量が太陽フレアよりもおよそ10倍必要であることが分かった。つまり,スーパーフレアは,太陽の表面で起こるフレアよりもエネルギーが格段に大きい一方で,その放射の振る舞いや時間変化は太陽フレアと似た性質を示すことが分かった。
これにより,これまでに得られた太陽フレアの知見からスーパーフレアが惑星に及ぼす影響を評価できることになり,大規模な宇宙天気現象を予報することにつながる成果となった。
研究グループは今後も観測を続け,さまざまな恒星で起こるフレアを検出し,解析することを目指す。恒星のスーパーフレアから放出される荷電粒子の量や速度を明らかにし,惑星に及ぼす影響をより一般的に議論する基礎を築くことが期待されるとしている。