オリンパスは,内視鏡システム「EVIS X1(イーヴィス エックスワン)」を2020年7月3日から日本国内で発売する(ニュースリリース)。
この製品は,約8年ぶりにモデルチェンジする同社最上位機種の内視鏡システム。がんをはじめとする消化器疾患のより高精度な観察・治療を支援する,以下の4つ技術を搭載した。
1.EDOF(被写界深度拡大技術):Extended Depth of Field
近い距離と遠い距離のそれぞれに焦点が合った2つの画像を同時に取り出して合成することで,リアルタイムに焦点範囲の広い内視鏡画像を得る技術で,内視鏡への搭載は世界初となる。
従来,内視鏡検査・治療で,心臓の拍動や腸の蠕動運動がある状況での焦点合わせは,検査時間の延長や医師のストレスを招いていたが,EDOFにより明瞭な観察画像が得られ,検査時間短縮による効率化や病変の診断精度向上などに貢献できるようになるという。
2.RDI(赤色光観察):Red Dichromatic Imaging
緑・アンバー・赤の3色の特定の波長の光を照射することで,深部組織のコントラストを形成する,光デジタル技術を用いた独自の新たな画像強調観察技術。内視鏡治療中に発生する消化管出血により。視野が妨げられ病変部の処置が困難になるケースがあるが,RDI観察を行なうことにより深部血管などの視認性向上が支援され,迅速かつ容易な止血処置をサポートするという。
3.TXI(構造色彩強調機能):Texture and Color Enhancement Imaging
通常光観察下での粘膜表面の「構造」「色調」「明るさ」の3つの要素を最適化する画像技術。通常光観察では見にくい画像上のわずかな色調や構造の変化が,TXIを活用することにより強調され,病変部などの観察性能向上に貢献することが期待されるとしている。
4.NBI(狭帯域光観察):Narrow Band Imaging
血液中のヘモグロビンに強く吸収される紫(415nm)と緑(540nm)の特定の波長の光を照射することで,粘膜表層の毛細血管や微細構造が強調表示される独自の光デジタル法による画像強調観察機能。従来システムより搭載している技術。
さらに同社は,人工知能(AI)を取り入れた次世代技術を開発中だという。