産業技術総合研究所(産総研)は,2020年7月1日にイノベーション推進本部内に「標準化推進センター」を設置した(ニュースリリース)。
国内産業の国際競争力を強化するためには国際的なルール作り,すなわち標準化を,わが国が主導していくことが重要となる。今回設立した標準化推進センターでは,産総研の研究ポテンシャルを活用し,政策的なニーズや産業界からのニーズを受けた戦略の検討支援や,具体的な標準化活動を推進する。特に,複数の業界にまたがる新しい産業分野での標準化の取り組みをサポートする。
近年,IT (Information Technology)化やIoT(Internet of Things)化などにより,従来の業界団体を中心とした標準化の枠組みにはまらない,複数の業界にまたがる新しい産業分野での標準化ニーズが増加してきた。このような標準化ニーズへ対応するためには,ステークホルダー間での合意形成が重要になる。
産総研の研究に関連する領域において,政策当局や産業界の要望に対し,中立的な立場でステークホルダーとの調整を行ない,社会課題の解決に資する標準化を進める中核的な組織として,このセンターを設立した。また「標準化オフィサー」も設立し,標準化の専門知識と経験を活かして,ステークホルダー間の調整や標準の普及策検討などを行なうという。
産総研では,これまでに培ってきた標準化活動のノウハウを元に,ステークホルダーと協働した標準化活動に取り組むことで,社会に役立つ国際的なルールの確立やそれらの活用を通じた国内産業の国際競争力の強化を図る。
なお産総研は,情報技術分野の標準化活動を推進するため,2020年4月1日に情報・人間工学領域内にデジタルアーキテクチャ推進センター 情報標準化推進室を設置しており,今後,標準化推進センターとも連携し,産総研を中核とした標準化活動に取り組むとしている。