東大ら,単層SnSの強誘電特性を実証

東京大学,関西学院大学,台湾 国立交通大學の研究グループは,2次元層状物質である硫化錫(SnS)において単層を初めて成長させ,その強誘電特性を実証した(ニュースリリース)。

炭素原子1層からなるグラフェンの発見以降,二次元層状材料は大きな注目を集めている。電子・光デバイスへの応用が主に議論されてきたが,最近,圧電/強誘電特性を示す二次元層状材料が理論・実験両面から報告されている。

強誘電特性に関しては,主に酸化物材料において議論されており,数nm程度への極薄化により特性を失うためデバイスの微細化に対して問題となっていた。二次元層状物質においても,面外分極を示す材料系においては同様に極薄化により特性は劣化することがすでに報告されている。

最近,二次元層状物質である硫化錫(SnS)において,面内分極を示す強誘電特性が理論的に予測された。極薄化した際においても分極が保たれることが予想されることから,これまでの問題を解決できる材料として注目を集めていたが,単層の成長は未だ実現されていなかった。

今回研究グループは,物理蒸着法を用い,原子レベルで平坦なマイカ基板上に成長温度条件を制御することによりこれまで報告されていなかった単層SnSのμmサイズでの成長に成功した。第一原理計算による格子振動のモードとの一致を確認している。

原子レベルで多層の表面構造を調べた結果,2次元核生成による成長機構であることが分かった。単層において第二高調波発生(SHG)を観測したことから,非点対称性を有する結晶構造であることが示された。

層の上下で分極の向きが逆になる積層構造が安定なため,多層においては偶数層で分極を打ち消し合い,奇数層でのみSHGが観察されることが予測されたが,単層から15層程度の臨界膜厚までのすべての層数でSHGを示した。

高角度散乱暗視野走査透過電子顕微鏡法により,臨界膜厚下では分極の向きが揃った非点対称性を有する準安定な積層構造をしていることを突き止めた。2端子デバイスの電流―電圧特性において,分極反転に伴いショットキー障壁が変化することによるヒステリシスを観測し,double wave測定から強誘電特性を実証した。

2次元層状SnSはバンドギャップをもつ半導体。強誘電酸化物とSi半導体を組み合わせた従来の強誘電メモリに対して,SnS自身が半導体チャネルであり強誘電性を示すため,従来と異なる構造のメモリや圧電性を利用したナノ発電等への応用が期待されるとしている。

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