京都セミコンダクターは,業界最小クラスの表面実装型KP-2 二波長フォトダイオード「KPMC29」を開発した(ニュースリリース)。サンプル受注開始は2020年8月31日,量産受注開始は2021年4月1日を予定。
被測定物に光を照射し透過光や反射光から,直接触れることなく被測定物の物性・種類を同定する分光分析技術は,医療,産業,セキュリティなど幅広い分野でその要求が増している。
分光分析では多種の測定項目をカバーする光源波長の多波長化(多色化),受光素子側では,光源に対応する広い波長域で感度を有することが重要となる。また,人体への装着が想定される医療機器やウェアラブルなデジタル機器への適用には,従来のリードタイプの製品より小型な製品が要求されていた。
この製品は,短い波長に感度を有するシリコン(Si)の受光素子と,長い波長に感度を有するインジウムガリウムヒ素(InGaAs)の受光素子を同一光軸上に積層することにより,広い感度波長(400~1,700nm)を実現している。
また,小型化を達成するため,最初に光が透過するSiの受光素子の基板側に設けた凹状の窪みにInGaAsの受光素子を収納。これによりパッケージの高さを極限まで低くすることが可能になり,同社従来品に比べ体積比で1/8まで小型化を実現している。
これらの特長から,パルスオキシメータなどの生体モニタを行なう医療分野やウェアラブル活動量計などのヘルスケア分野で応用が期待されるという。また,SiとInGaAsの受光素子からの光電流信号を独立に取り出せるため,その光電流比を測定することで高温の物体に直接触れることなく温度を測定する放射温度計などの用途にも応用が可能になるとしている。