宇宙航空研究開発機構(JAXA)とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)の共同研究事例「小型光通信装置SOLISSによる宇宙通信インフラ構築への貢献」が,第4回宇宙開発利用大賞で最高賞となる内閣総理大臣賞を受賞した(ニュースリリース)。
宇宙開発利用大賞は,日本宇宙フォーラムが運営する表彰制度。宇宙開発利用の推進において大きな成果を収めたり先導的な取り組みを行なう等,宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関して,その功績を称えることにより日本の宇宙開発利用のさらなる進展や宇宙開発利用に対する国民の認識と理解の醸成に寄与することを目的としている。この中でも内閣総理大臣賞は,極めて顕著な功績があったと認められる事例に対して授与される。
JAXAとソニーは将来の衛星間や地上との大容量リアルタイムデータ通信の実現を目指して,光ディスク技術を利用した小型衛星光通信実験装置「SOLISS」(Small Optical Link for International Space Station)の開発をJAXA宇宙探査イノベーションハブの研究提案の枠組みを利用して,2016年より共同で行なってきた。
光通信部にはソニーが1970年代より研究開発し,CDやMD,DVD,Blu-ray等で事業化してきた光ディスク技術を用いており,高精度,低消費電力,小型で量産が容易であること等を特長としている。
その後,JAXAの「きぼう」日本実験棟の有償利用制度を通し,2019年9月25日には,宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機で国際宇宙ステーション(ISS)へ送り届けられ,「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォーム(中型曝露実験アダプター(i-SEEP))に設置された。現在,光通信の試験を継続的に実施している。
今回の受賞では,SOLISSの開発が宇宙空間における大容量リアルタイムデータ通信の実現や電波チャンネル不足への対応に寄与するものであり,その需要もあることから社会実装された際のインパクトは甚大で,きわめて高い期待が持てる技術であると評価されたとしている。