ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズは,「マイクロLEDを用いた高画質でスケーラブルな大型ディスプレイシステムの開発」で,大河内記念会から「第66回(令和元年度)大河内記念生産賞」を受賞した(ニュースリリース)。
同賞は,故大河内正敏博士の功績を記念して設けられ,わが国の生産工学,生産技術の研究開発,および高度生産方式の実施などに関する顕著な功績を表彰する賞。今回同社が受賞した「大河内記念生産賞」は,生産工学,高度生産方式などの研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績をあげた事業体に贈られる。
今回の受賞は,極めて微細なLED素子を光源とする独自開発の技術を用いて,ディスプレーユニットを結合して構築するスケーラブルで高画質なディスプレーシステムを実用化したことが評価された。「Crystal LEDディスプレイシステム」として,2016年5月に商品化を発表し,2017年1月から量産出荷を開始している。
「Crystal LEDディスプレイシステム」は,画面表面にR/G/Bの極めて微細なLED素子を配置した画素を,狭ピッチ(画素間隔1.26mm)で並べ,画素毎に駆動させる自発光のディスプレー方式を用いている。
RGBを1画素とする光源サイズは0.003mm2と極めて微細なため,画面表面の黒色が占める割合を99%以上に高めることができ,素子の広配光性能などと合わせることにより,高コントラスト(明暗両環境において)と広視野角,広色域の豊かな映像表現を可能にする。また,独自の画素駆動回路により高速動画応答性能に優れており,最大120fpsのフレームレートで映像表示が可能となる。
さらに,はがき大のセルから,セルを組み合わせた約40cm四方のディスプレーユニット,そしてディスプレスユニットを結合した大画面ディスプレーと順に組み上げる構造になっており,画面の大きさや縦・横の比率を自由に構築できるスケーラビリティを実現している。また,高精度な組立・補正技術を適用することで,あたかも単一パネルのような目地のない大画面化が可能となる。
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングとソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズによる,微細なLED素子を適切な間隔で基板上に高速実装する工程,輝度・色度の画素間均一性を確保するプロセスなど,高度な生産技術を確立したことにより,量産化に成功した。今後も同社は,産業の発展に貢献する生産技術の開発に取り組んでいくとしている。