インスペックは,世界初となる長尺FPC(フレキシブル基板)をシームレスに連続露光可能なロール・トゥ・ロール型シームレスレーザー直描露光機(R-LDI)の基本機能の開発が完了したことにより,R-LDIの開発・製造・販売を新たな事業として取り組むことを発表した(ニュースリリース)。
現在,自動車のCASE(Connected:コネクテッド,Autonomous:自動運転,Shared:シェアリング,Electric:電動化)への取り組みは加速度的に進歩を続けており,自動車メーカー各社は自動車の内部配線(ワイヤーハーネス)の急速な増加に伴い高品質で軽量なFPCの採用に取組んでいる。
このような状況の中,ワイヤーハーネスは乗用車でも長さ6m超の配線が必要と言われており,長尺のFPCをシームレスに露光が可能な露光機へのニーズが高まっている。
同社は,このニーズに対応した露光機を開発するべく,検査装置事業で培ってきたロール・トゥ・ロール方式の精密搬送システムと,プリント基板用の直描露光機を製造販売している子会社(スイスFirst EIE)の技術をベースとし,秋田県産業技術センターとの共同研究のもと,経済産業省2018年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)の補助制度を活用して,ロール・トゥ・ロール型シームレスレーザー直描露光機の開発を進めてきた。
長尺FPCは,レイアウトの自由度の高さや配線としての信頼性の高さ,軽量性,個別製品単位のID表記など多くの特徴を持ち,自動車分野のみならず,航空機,宇宙産業,ドローン,ウエアラブル機器,各種ロボット,医療機器など多くの分野で利用が拡大していくものとしている。
同製品の主なスペックは以下の通り。
レーザー光源:波長405nmの半導体レーザー
最小L/S:200μm/200μm
露光速度:20mm/秒
最大露光幅:250mm
最大露光長:6,000mm(6,000mm以上は要相談)
装置寸法:W=2,370mm H=1,950mm D=1,300mm
今後,同製品の受注を2020年2月から開始し,来期以降の出荷を予定している。また同社は,これら新たなニーズに柔軟かつ迅速に対応し,この事業が同社の成長を牽引し大きな柱となるよう積極的に取組んでいくという。なおこの件が同社の2020年4月期の連結業績に与える影響は軽微としている。