フェニックス電機は半導体レーザーを使用した光によるCFRP表面処理ユニットを開発した(ニュースリリース)。
航空業界,自動車業界などでは,構造材の軽量化による省エネ効果を主目的としてCarbon Fiber Reinforced Plastic(CFRP)が積極的に採用されている。
しかしCFRPは複雑な形状を形成するのが難しいため,複雑な立体物やリブなどが必要となる場合はCFRP板を接着剤で接合して製造しているのが一般的となる。このような場合,CFRP表面に付着している離型剤などの異物の存在が接合力の信頼性を低下させてしまう問題がある。
そのため異物を除去する方法として,現在は人の手によるサンドペーパー処理やサンドブラスト処理が主流となっている。さらに炭酸ガスレーザーやYaGレーザーでCFRP表面を処理する研究などもされている。
現在,人の手によるサンドペーパー処理では作業者によって接合力にバラツキが生じたり,サンドブラスト処理では作業中に粉塵が飛散するためクリーン環境には適さないという問題がある。
このような問題を解決するために短パルス炭酸ガスレーザーやYaGレーザーで処理する方法も研究されているが,光源装置自体が非常に高価なため普及していないという。
同社では,従来使われている実用上の問題を解決するCFRP表面処理技術として,複数個の半導体レーザーと光学設計技術により,信頼性が高くクリーン環境で使用でき,かつ大型の環境設備が不要であるCFRP表面処理ユニットを開発した。
このユニットを使用することで問題を解決すると共に,自動化・無人化が実現できる。また導入コスト・処理コストの低減にも貢献するという。主なスペック例は以下の通り。
スペック例(31灯式ユニットの場合)
・照射光エネルギー:37W
・表面処理幅:6mm
・走査速度:秒速 1200mm
・走査方式:ベクタースキャン方式
・処理能力:3分/平米
・LD駆動パルス幅:最小50nsec(表面改質材料に応じて最適化)
・LD冷却方式:空冷式
同社では今回開発した光源ユニットの量産化に向けた準備を進めると共に,CFRP以外の材料をターゲットにした表面処理装置の実現のために,更なる高出力化・高機能化に向けた開発を継続して推し進めるとしている。