富士フイルム,微量紫外線の肌乾燥の仕組み解明

富士フイルムは,微量の紫外線が,肌を乾燥させるメカニズムを解明した。さらに,生薬としても利用されている「スターフルーツエキス」に,肌の保水成分を分解して肌の乾燥を引き起こす酵素「ストロメライシン-1」の活性を抑制する作用があることを発見した(ニュースリリース)。

肌のシミやしわ,乾燥が,紫外線によって引き起こされることは一般に知られている。しかし,紫外線と肌の乾燥に関する研究では,非常に強いUVAが用いられるケースが多く,日常生活でわずか数分間に浴びる程度の微量の紫外線が肌の乾燥を引き起こすことやそのメカニズムについては,あまり研究が進んでいなかった。そこで同社は,微量のUVAが肌の乾燥を引き起こすメカニズムの解明に取り組んだ。

まず培養皮膚モデルにUVAを照射し,培養皮膚モデル中の全遺伝子約2万個の発現量の変化を網羅的に解析した。その結果,皮膚中の保水成分である「プロテオグリカン」を分解する酵素「ストロメライシン-1」の遺伝子が,UVA照射なしの場合と比較して非常に多く発現していることが判った。また,実際のヒト皮膚組織において,微量のUVA照射によりストロメライシン-1がより多く産生することを実証した。

UVAをどの程度浴びると,ストロメライシン-1が増えるのかを確認したところ,2J/cm2でストロメライシン-1遺伝子の発現量が増加することが判った。この紫外線量は,一日の中でも紫外線量の少ない朝の数分間で浴びる程度の微弱なものだった。

ストロメライシン-1が肌の乾燥に及ぼす影響を詳しく調べるため,ストロメライシン-1と,保水成分を分解する5種の酵素(コラゲナーゼ,ゼラチナーゼA,好中球コラゲナーゼ,ゼラチナーゼB,マクロファージエラスターゼ)との関連性を解析した。

その結果,ストロメライシン-1が,5種の保水成分分解酵素の活性を促すことを実証した。また,これらの酵素とストロメライシン-1が,保水成分「プロテオグリカン」を分解することも確認した。

以上の結果より,朝の数分間で浴びる程度の微量のUVA照射によって,ストロメライシン-1が増加し保水成分「プロテオグリカン」を分解すること,また,増加したストロメライシン-1が他の保水成分分解酵素を活性化することで,プロテオグリカンの分解がより進行することを実証したという。

さらに肌の保水成分「プロテオグリカン」の分解に大きく影響するストロメライシン-1の働きを抑える成分を探索した結果,スターフルーツエキスに,その作用を見出したという。

同社は,これらの研究成果を,来春発売の機能性化粧品に応用する予定としている。

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