帝人ら,触覚を擬似体験できるスーツを開発

帝人,慶應義塾大学,南山大学,米Enhance Experience Inc.の研究グループは,布状の二次元通信システムと,その技術を応用した革新的な触覚体験を実現するハプティクス(触覚)スーツを開発した(ニュースリリース)。

帝人は,RFID物品管理システム「レコピック」に用いられる,電波を「面」で制御する二次元通信技術を使用することにより,半導体など様々な分野の製造工場,図書館,病院などの物品管理に資する事業を展開しており,いろいろな現場で導入が進んでいる。

しかし,これまでの二次元通信技術は,固い樹脂素材にしか適応できなかったことから,柔らかい布状のものへの適応に向けて南山大学と共同開発を行ない,その結果,全身での通信や給電が実施可能な衣服として利用できるようにした。

一方,慶應義塾大学は,触覚分野における研究を世界的にリードしており,2015年には,米Enhance Experience Inc.と共同で全身触覚スーツ「Synesthesia Suit」を開発している。

そして今回,両方の研究開発成果を組みわせることにより,簡単に装着することができ,外部からの接触を疑似的に体験することができる二次元通信ハプティクススーツを開発した。

このスーツと,複合現実型ヘッドマウントディスプレー「マジックリープ」を用いることにより,仮想空間での体験を,視覚のみでなく,触覚も併せ体験できるようになるという。

布状二次元通信システムについては,導電繊維と絶縁繊維で構成された布を用いて,柔軟な二次元の「面」で給電や通信を行なうことができる。

また,ハプティクスモジュール(振動子)を取り付け,頭部に装着したディスプレーから発信される映像や音声に合わせて振動させることで,バーチャルな物体との身体接触を体感することができる。

二次元通信を用いることにより,従来の配線方式よりも柔軟性や耐久性が高まるとともに,用途や体型・骨格に合わせたカスタマイズが可能。また,ハプティクスモジュールの他にもセンサーやアクチュエーターを取り付けることができ,様々な用途での活用が期待できるとしている。

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