沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究グループは,ARのハイテク技術を用いて,分類学の論文とリンクされた世界初のARアプリを製作した(ニュースリリース)。
ARは,実在する風景にスクリーン上のコンピュータグラフィックス(CG画像)を重ねることで,インタラクティブで「まるで現実のような世界」をつくり出す。これはビデオゲームなどで,現実とCGを融合するためによく使われるテクノロジー。
研究グループが開発したインタラクティブな生物分類アプリ「Insects3D」を使うと,これらのアリの標本にどこからでもアクセスすることができる。
アプリ開発には,3次元X線マイクロスキャナを用いて,アリのデジタルモデルを作成した。ユーザーは,AR上に表示されたアリの3Dモデルを,現実世界に重ねることができる。さらに,アリをライオンの大きさにまで拡大することも可能になるとする。
このアプリは,フィジー共和国に生息するウロコアリ属(別名ミニチュア・トラップ・ジョー・アント)の新種6種を記載した分類学の研究論文とリンクしている。これまで博物館でしか見ることができなかったアリも,このアプリを使用すると,世界中の人が目の前に見ることができるという。
このテクノロジーの活用は,分類学の研究だけにとどまらず,他分野の研究者たちも同じアプローチを用い,研究による発見を新たな方法で示すことができるようになるだろうとしている。