名大ら,概日リズムの精密スピード調節に成功

名古屋大学とオランダ・グローニンゲン大学の研究グループは,光に応答して活性化する化合物を開発し,哺乳類の培養細胞やゼブラフィッシュにおいて,概日リズムのスピードを精密に調節することに成功した(ニュースリリース)。

概日時計は睡眠・覚醒などのさまざまな生理現象に見られる1日周期のリズムを支配し,その機能が乱れると睡眠障害などの疾患に影響を及ぼすことが指摘されている。そのため,概日時計の機能を精密に調節することができれば,生物が1日の時間を測る仕組みの理解だけでなく,疾患治療に向けた起点ともなる。

研究グループは以前,細胞内の時計タンパク質のリン酸化に関与するCKIタンパク質を標的として概日リズムのスピードを強力に遅らせる化合物を発見し,「longdaysin」と名付けた。今回,研究グループはこの化合物を改変し,暗い時には作用を示さず,光が当たると活性化してCKIを阻害するような化合物「DK359」を開発した。

この化合物を用いることで,哺乳類の培養細胞や組織,さらには生きたゼブラフィッシュにおいて概日リズムのスピードを光によって精密に調節する(遅らせる)ことが可能になったという。研究グループは今回の発見により,概日時計のメカニズムの解明と疾患治療に向けた応用に新たな道が拓けるとしている。

キーワード:

関連記事

  • 宮城教育大学など、光を受けて14時間後に産卵するクラゲを発見

    宮城県の海で採取されたクラゲ「Clytia sp. IZ-D」が明刺激を受けてもすぐには産卵せず、14時間もたってから同調して産卵するという珍しい性質をもつことを、宮城教育大学、広島大学、仏ソルボンヌ大学が発見した(ニュ…

    2026.01.08
  • 千葉大,光害が昆虫の体と寿命に影響することを解明

    千葉大学の研究グループは,都市部と非都市部に生息するオウトウショウジョウバエ(Drosophila suzukii)を用いた実験により,都市部特有の夜間人工光(光害)が,体のサイズの縮小,睡眠時間の減少,活動リズムの乱れ…

    2025.08.28
  • 府立医大ら,脂肪肝と明暗シフトの関係を明らかに

    京都府立医科大学,立命館大学,米テキサス大学,大津市民病院は,野生型マウスを適応不能な明暗シフト環境の下47週間飼育したところ,概日リズム障害に伴う疾患の一つとして知られる脂肪肝の発症が顕著に増加すること,同じ明暗シフト…

    2024.02.06
  • 京大ら,光誘導物質による体内時計同調機構を発見

    京都大学と大阪大学は,光が神経活動を抑制する低分子量Gタンパク質3Gemを誘導し,これが体内時計の細胞の活動を抑制し,過剰に動くことを防いでいることを明らかにした(ニュースリリース)。 体内時計には,約24時間周期のサー…

    2022.05.27
  • 北大ら,光の入射角度の生物時計への影響を発見

    北海道大学と電制コムテックは,光の入射角度が異なるウェアラブル型の高照度光装置を用いて,光の入射角度のちがいがメラトニン分泌抑制率と瞳孔の縮瞳率に影響することを発見した(ニュースリリース)。 ヒトの生物時計を調節するには…

    2022.01.21

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア