北大ら,光の入射角度の生物時計への影響を発見

著者: sugi

北海道大学と電制コムテックは,光の入射角度が異なるウェアラブル型の高照度光装置を用いて,光の入射角度のちがいがメラトニン分泌抑制率と瞳孔の縮瞳率に影響することを発見した(ニュースリリース)。

ヒトの生物時計を調節するには,数千 lxの光照度とブルーライトのような短波長の光を浴びることが有効とされている。

うつ病等の気分障害や生活リズムの乱れ,生物時計の同調障害が原因とされる概日リズム睡眠障害の治療法として確立されている高照度光療法は,据え置き型のライトボックスを用いて,生物時計を調節するために適切な時間帯に2,500 lx以上の高照度光を照射し,睡眠時間帯を望ましい時間帯になるよう調整する。

近年ではウェアラブル型の装置が開発され,臨床現場,一般家庭でも高照度光療法が実施されているが,その際光の入射角度の違いが装置の効果に与える影響について検証されていなかった。そこで研究では,研究グループが独自に作成した光の入射角度が異なる2つのウェアラブル型の光照射装置を作成し,2つの実験を実施した。

実験1では,被験者は普段の就寝時刻の4時間前に5 lx以下の低照度環境に設定した実験室で,普段の就寝時刻までの間,低照度環境下で安静座位にて過ごし,その後,低照度のまま過ごす対象条件と普段の就寝時刻から1時間,入射角度が異なるウェアラブル型の光照射装置を装着して約10,000 lxの光照射を行なう光照射条件で過ごした。

実験2では,実験室内の照明を消灯し,恒常暗下で5分間過ごし瞳孔が十分に散大したことを確認した後,実験1で使用した装置を用いて光照射を5分間行なった。

実験1では,低照度で過ごす対象条件と光照射条件間で唾液中メラトニン濃度を比較したところ,28度の入射角で光照射を行なった際には光照射30分後及び1時間後では対象条件に比べて有意に唾液中メラトニン濃度が低下した。

一方,55度の入射角で光照射を行なった際には,対象条件と光照射条件間で有意な差は認められなかった。対象条件と光照射条件間で光照射1時間後の唾液中メラトニン濃度を基に抑制率を計算したところ,28度の入射角でのメラトニンの光抑制率が55度の入射角に比べて有意に高くなった。

実験2では,28度の入射角で光を照射した際には55度の入射角で光に比べ,瞳孔の縮瞳率にも有意な差が認められた。これらの結果から,下方(28度の入射角)から光を照射することで生物時計に光情報を伝達する役割を担う網膜のipRGCをより活性化させることを発見した。

研究グループは,この成果が高照度光療法の効果を高めるウェアラブル型光照射装置につながるとしている。

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