日立,光トポグラフィで山崎貞一賞を受賞

日立製作所(日立)の研究者らは,「ウェアラブル光トポグラフィを用いた脳機能画像計測技術の開発と実用化」で,計測評価分野の「第19回(2019年度)一般財団法人材料科学技術振興財団山崎貞一賞」(山崎貞一賞)を受賞した(ニュースリリース)。

山崎貞一賞は,材料科学技術振興財団によって,「材料」「半導体及びAI・システム・ソフトウェア」「計測評価」「バイオサイエンス・バイオテクノロジー」の4分野における論文の発表,特許の取得,方法・技術の開発等を通じて,実用化につながる優れた創造的業績をあげている者に授与される。毎年2分野を交互に選考の対象とし,今年は「計測評価」と「バイオサイエンス・バイオテクノロジー」の分野が対象となる。

今回の受賞者は以下の3名。
牧敦氏(日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ)
木口雅史氏(日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ)
佐藤大樹氏(芝浦工業大学 システム理工学部 生命科学科教授/元日立製作所 研究開発グループ員)

受賞者らは,1937年に提案されたヘモグロビン(Hb)の酸素化状態を分光学的に計測する原理を応用し,1990年代から光を使った新しい生体計測技術の開発を進めてきた。今回の受賞では,拡散光を用いて人の脳機能を無侵襲で計測する「光トポグラフィ法」を考案して,実用化に至った研究が評価された。

同社は,1995年に光トポグラフィ法による脳機能の画像計測を世界で初めて実証している。また,2001年に日立メディコ(当時名称)から世界初の光脳機能イメージング装置として製品化し,その後小型化したウェアラブルタイプの光トポグラフィ装置を開発,2010年から販売開始(後に日立ハイテクノロジーズに移管)した。

この装置はコンパクトで可搬性があり,以前の装置では困難であった複数人の同時計測が容易に行なえるといった特長がある。今回の技術を中核として,同社グループでは脳神経科学に基づく超少子高齢社会に向けたソリューションの開発を推進している。

また,同社は光トポグラフィ法を発展させて「光静脈認証技術」を開発した。光静脈認証技術は特許として認定され,現在も国内の銀行ATMなどに広く採用されている。なお,贈呈式は2019年11月27日に東京・日本学士院で開催される。

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