上智大学は,デンマークコペンハーゲン大学と共同で,16個の銀原子をDNAでコーティングしたナノサイズの蛍光物質「DNA-銀ナノクラスター」の立体構造を観察することに成功した(ニュースリリース)。
銀は宝飾品や貨幣,食器のほか,食品添加物などにも幅広く利用されている。これをナノメートルサイズの超微粒子にすると,金属としての銀とはまったく異なる性質を示す。例えば,数個~30個程度の銀原子が集合してできる「銀ナノクラスター」は,蛍光や触媒活性などを示すことが知られている。
今回,研究グループは,緑色光を照射すると遠赤色光(近赤外線)を発するという性質を持ち,生物の遺伝物質であるDNAと人体に無害な金属である銀でできていることから,細胞内の生体分子の可視化や,それに基づく病気の診断など,幅広い分野への応用が期待できるという「DNA-銀ナノクラスター」を対象に研究を行なった。
X線結晶解析を用いて「DNA-銀ナノクラスター」の立体構造を解析した結果,16個の銀原子の集団(クラスター)に2本のDNAが巻きついてコーティングされている様子を観察することに成功した。
研究グループは今回の研究成果によって,これまで試行錯誤だったDNA-銀ナノクラスターの設計が合理的になるとしている。