凸版印刷と日本体育大学(日体大)は,世界初となるトップアスリートの動作解析データを基に個人に合わせた最適な動作トレーニング法を提供する「標準動作モデルを用いたループ型動作トレーニングシステム」の共同研究を開始する(ニュースリリース)。
近年教育現場では教師の不足や競技ニーズの多様化を背景に,スポーツ経験のある教師が多くなく,適切な指導が困難なことが課題となっている。また,超高齢社会の到来により増大する医療費の適正化に向け,高齢者においてもけがの予防や効率的な身体機能改善に繋がる正しい指導が重要となっている。
この共同研究は,日体大が開発したスポーツバイオメカニクス的手法による標準動作モデルと,経験豊かな指導者が持つ運動者の特性に応じた指導方法を統合し,各種スポーツ動作の模範的動作を習得する動作トレーニングメソッドを構築する。データベースに蓄積された標準データに基づき,凸版印刷が持つ表現技術を活用したループ型動作トレーニングシステムの開発を行なう。
ループ型とは,トップアスリートの動作解析データと運動者の動作を比較し,改善点を指導者がアドバイスし,そのアドバイスをもとに動作を修正し,試技を繰り返すことで,最適かつ効率的に動作の改善などを実現する手法。
具体的には,日体大がアスリートをモーションキャプチャし,効率的で身体への負担が少ない標準動作モデルを作成するとともにコーチのトレーニング方法をデータベース化する。凸版印刷は,標準動作モデルと運動者を比較し,改善点を抽出するための可視化技術を開発する。
また,コーチが運動者を評価し,改善のためのトレーニング方法をアルゴリズム化し自主的なトレーニングを可能にする。さらに,ユーザビリティ向上のためのプラットフォーム化を実現する。これにより,標準動作モデルと自身の動きを比較し,動作の差分などを算出したスコアの情報から,模範的な動作や個人に合わせた最適なアドバイスを受けることが可能になるという。
両者はこの共同研究により,スポーツにおける効率的で身体への負担が少ない動作トレーニングを実現するとともに,このシステムを活用して指導者のスキル向上や教育現場での活用による子どもの能力の向上,高齢者の健康増進に貢献するとともにスポーツ市場の活性化をはかるとしている。