台湾Artiluxは,広帯域3Dセンシング向けの新技術「Artilux Explore Series」を発表した(会社HP)。
3Dセンシング技術には通常1µm以下の波長,一般的に850nmないしは940nmが使用されている。これらの波長には2つの難点がある。1つ目は太陽光の干渉による屋外性能低下であり,2つ目は人間の網膜はこのような波長のレーザーエネルギーを吸収しやすいため,レーザーの誤用や誤動作によって視力に損傷を与える危険性である。1µmを超える波長に広げようとする従来の試みは,低い量子効率(QE)が課題であり,940nmでは30%,1µm以上の波長では0%と大幅に低下していた。
同社は新GeSi Time of Flight(ToF)技術によって,安全性の確保と最小限の太陽光干渉を実現することを目指し,より広帯域なスペクトルで光を吸収する能力限界を克服した。新技術は受光材料のGeSiとシリコンウエハーのCMOS技術を統合し,940nmでQEを70%に高め,50%のQEが達成できる範囲も1550nmまで拡大することに成功。物理的限界およびエンジニアリングのボトルネックを解消した。
さらに300MHz以上の変調周波数と合わせることで,太陽光の下でより高い精度の受光性能を発揮し,眼損傷のリスクを大幅に軽減するとし,こうしたソリューションを競争力ある価格で提供する体制も整備しているという。
同社ではこの新技術が,3D顔認証などの短距離応用から,屋内・屋外を問わないミクロン単位の精度を持ったAR(拡張現実),セキュリティー,ロボットや自動車の自立・自動運転といった中・長距離応用まで,幅広い分野で活用されるだろうとしている。