富士経済は,強度や異種接合性などが求められ特殊化が進展している粘接着・封止材の世界市場を調査し,その結果を「2019年 特殊粘接着・封止材の市場展望」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では,自動車用途14品目,エレクトロニクス用途14品目,その他用途8品目の特殊粘接着・封止材計36品目の市場や,関連アプリケーションとして自動車,半導体の市場を調査した。また,企業別の製品事例も取り上げている。
これによると,2018年の特殊粘接着・封止材の世界市場は,106億740万ドル(2017年比104.4%)となった。各分野において粘接着・封止材の特殊化,高機能化,高付加価値化要求は進展しており,市場の動きは活発化している。今後も,自動車分野,エレクトロニクス分野,その他分野向けそれぞれの伸びが期待でき,市場は拡大していくとみる。
分野別にみると自動車分野は,異種材料接合や環境適応,作業性の向上ニーズの高まりなどにより特殊粘接着・封止材の採用が増え,伸びている。今後は,車載ディスプレーの大型化や搭載率の上昇に伴い車載ディスプレー用接着剤(OCA・OCR)が伸びるとみる。また,欧州を中心にCFRP製自動車部品の需要が高まり,CFRP用接着剤需要も増加が期待できるという。
エレクトロニクス分野は,家電,自動車,ロボットなどで半導体の需要が高まっており,この動きに連動してパワーデバイス用封止材などが伸びている。今後は,中国のスマートフォンメーカーなどでフレキシブルOLEDの搭載が続くことからフレキシブルOLED用封止材やフレキシブルOLED用OCAなどが伸びるとみる。
その他分野は,医療での患者ケアの向上により低刺激医療テープ用粘着剤が伸びている。また,3Dプリンター用材料や放熱接着剤なども需要が増加している。中国やその他アジアで生活水準の向上により紙おむつの需要が高まっており,衛材用接着剤が伸びるとみている。
注目市場として,スマートフォンなどのディスプレーと筐体を接合するために使用される狭額縁用接着剤をあげている。スマートフォンは画面を大きくするために狭額縁化が進んでおり,これまで使用されていた両面テープに代わり開発された。市場はスマートフォンの生産拡大に加え,スマートフォンの狭額縁化の進展によって拡大している。
大手スマートフォンメーカーが狭額縁用接着剤の採用を積極的に進め,その他のメーカーも追随するなど,市場の動きは活発化している。狭額縁用接着剤は治具固定に時間がかかるものの,両面テープと比較して狭額縁に対応できることから,今後さらに採用が増えるとみている。