ソニーは,米・カリフォルニア州ロサンゼルスにて7月28日(現地時間)より開催されているコンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議「SIGGRAPH 2019」において,同社が開発したホログラムスクリーン技術を使った360°映像表示可能な円筒透明スクリーンディスプレーを展示している(ニュースリリース)。
通常,光は透明な物体に対して透過するため,透明ディスプレーはその透明度と投影された映像の輝度を両立するのが困難だった。今回同社は,高い透明度を保ちながら高輝度の映像表示が可能なホログラムスクリーンを新たに開発した。また,独自の円筒投影光学設計により360°全方位から鮮やかな映像の視聴を可能にしたという。
SIGGRAPH 2019での展示では,毎秒1,000フレームで対象物の検出と追跡をする高速ビジョンセンサー「IMX382」を用いた高速カメラにより,視聴者の位置を360°シームレスにリアルタイムトラッキングすることで,常に円筒内にあるように映像を表示し,2D映像でありながら実在感の高い表現を実現する。
また,この製品を複数台使用し,それぞれの映像を連動させたデモ展示を行ない,映像クリエイターに新たな空間演出手法を提案する。さらに360°映像とそれに協調するサウンドをハンドジェスチャーでリアルタイムに操作し,新しいインタラクティブな体験ができるアプリケーションを公開。このアプリケーションはソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発を行ない,デモ展示に協力している。
なお,同社はSIGGRAPH 2019において,この製品以外にも網膜直描技術を使ったフルカラーのARアイウェアの試作機の展示も行なっているという。