関学ら,超高色純度の青色OLED材料を開発

関西学院大学とJNCの子会社であるJNC石油化学の研究グループは,量子ドットやLEDを超える色純度を持つ有機ELディスプレー用青色発光材料の開発に成功した(ニュースリリース)。

有機EL(OLED)ディスプレーは,液晶ディスプレーに代わるフラットパネルディスプレーとして実用化が進んでいる。しかし有機系発光材料は,発光の色純度が低い(発光スペクトル幅が広い)という欠点がある。

色純度を向上させるため光学フィルターにより発光スペクトルから不必要な色を除去すると,ディスプレーの輝度や電力効率が大きく低下してしまう。また,フィルターによる色純度の向上には限界があり,ディスプレーの広色域化が難しいことから,色純度が高い発光材料の開発が望まれていた。

今回研究グループは,色純度の高い有機系青色発光材料(ν-DABNA)を開発した。これまで有機EL青色発光材料としては,発光効率の高い多環式芳香族炭化水素類であるピレンやペリレンの誘導体が用いられてきたが,半値幅が40nm前後の幅広の発光スペクトルを与えるという問題があった。

この原因としては,HOMOとLUMOが,それぞれ異なる炭素原子間に主に存在するため,発光を伴って励起一重項状態(S1)から基底状態(S0)に遷移する際(S1-S0遷移:LUMOからHOMOへの電子遷移に相当)に,炭素原子間の電子密度が大きく変化することが挙げられる。

S1-S0遷移により炭素原子間の電子密度が変化すると,炭素原子間に働く力が変化するため,炭素-炭素結合の伸縮振動を伴うが,その振動エネルギー(1300-1700cm-1)に応じて,発光スペクトルの幅が広くなる。

ν-DABNAでは,ホウ素と窒素の多重共鳴効果により,HOMOとLUMOが,それぞれ異なる炭素原子上に局在化し,S1-S0遷移による炭素原子間の電子密度の変化がほとんどないために,伸縮振動を伴わない。

その代わりS1-S0遷移は,分子全体のねじれ振動を伴うが,その振動エネルギーは非常に小さい(~20cm-1)ために,半値幅14~18nmの極めて幅狭な発光スペクトルを示す。また,ν-DABNAは優れたTADF特性を示し,実用輝度(300cdm-2)において,従来の青色素子を大きく上回る外部量子効率(30%)を示したという。

研究グループは,このν-DABNAは,窒化ガリウム系LEDやカドミウム系量子ドットを上回る色純度と最高レベルの効率を兼ね備えていることから,有機ELディスプレーの高色域化,高輝度化,低消費電力化,ブルーライトの低減が期待できるとしている。

※8月19日 タイトルの学名を訂正しました。

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