ソニーは細胞分析装置(フローサイトメーター)の新商品として,44色以上の超多色細胞解析をシンプルな操作で効率的に実現するスペクトル型セルアナライザー「ID7000TM」を2020年夏に発売する(ニュースリリース)。オープン価格。
細胞分析装置とは,特定の条件下で発光する薬品(蛍光試薬)で細胞を染色し,細胞にレーザー光を照射した際に発する光(蛍光)を,散乱光や蛍光情報として検出することで,細胞の特性を解析する装置。1秒間に数万個におよぶさまざまな細胞の大きさや個数,細胞表面や細胞内部の各種情報(構造,機能,バイオマーカー等)を解析できる。
近年,免疫学やがん,再生医療などの研究領域では,基礎研究や疾患の原因究明,医薬品開発などを目的として,細胞分析装置が広く活用されている。例えば,新しいがんの治療方法として注目が集まる「がん免疫療法」の研究では,免疫細胞やがん細胞の詳細な解析が不可欠であり,細胞表面に発現している複雑な抗原を一度に網羅的に調べたいといった需要が高まっている。
この製品は,同社独自のスペクトル解析技術を結集し,最大7つのレーザーと計188チャネルの光検出器,解析アルゴリズムを用いることで,超多色かつ高精度な解析を実現。これにより,多種多様な細胞集団の中からがん細胞や幹細胞などの希少な細胞の検出を,一度の解析で可能になるとしている。
一般的に市場で活用されているセルアナライザーでは30色程度の解析を実現しているが,この製品では44色以上の多色解析ができるため,原理的には一度の細胞解析で約16,000倍の情報収集が可能となるという。