オリンパスは,膵胆管疾患の診断・治療に用いる胆道ビデオスコープ「CHF-B290」を2019年5月24日から国内で発売する(ニュースリリース)。
膵胆管は消化管の中でも非常に細い管で,人体の奥深い位置に存在するため,診断・治療が困難な部位。また,近年,膵臓・胆道癌をはじめ,膵炎・胆石などさまざまな疾患が増加している部位でもある。
膵胆管の診断は,十二指腸まで挿入した内視鏡から膵胆管に造影剤を注入し,X線下で観察する方法が主流。一方で,胆道スコープを用いた場合は,病変を直接観察したり,病変の良悪性を鑑別するための組織生検を行なうことが可能になる。
この製品は,十二指腸スコープの鉗子挿通用管路(内視鏡を通じてさまざまな処置具を挿入し,内視鏡の先端から出すための管路)に挿入して使用する細径スコープ。先端部外径3.3mmのため,細い膵胆管内を直接観察したり,組織を採取したりすることができる。
近観察深度を従来の3~20mmから1.5~20mmに見直し,今まで以上に近接した観察が可能になったという。また,粘膜表面の微細な血管やその模様がより見えやすくなる,同社独自の画像強調技術「NBI」にも対応する。
また,胆道スコープは非常に細いため,耐久性に課題があった。この製品は,先端の湾曲部の外形を細く維持したままゴムの厚さを約2倍にした。スコープが柔軟に曲がる「軟質部」を新たに搭載したことで,耐久性の向上に寄与する。
さらに,鉗子挿通用管路を1.2mmから1.3mmに広げ,処置具の挿入性や膵胆管内を洗浄する際の送水量が向上した。管路を広くしたことで処置具との摩擦が軽減され,管路の破損も軽減するという。
なお,同社はこの製品を5月31日から6月2日まで東京で開催される「第97回日本消化器内視鏡学会総会」に出展するとしている。