東京大学で開発を進めている超広視野CMOSカメラ「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」の全ユニットが揃い,ファーストライトデータの取得に成功した(ニュースリリース)。
トモエゴゼンカメラは84枚の35mmフルHD CMOSイメージセンサーを搭載するが,カメラが巨大になるため,4分の1ずつ分けて製作し,望遠鏡焦点面にて結合する方式をとってきた。今回,最後のユニットとなるQ4ユニットを105cmシュミット望遠鏡へ搭載し,全84枚のCMOSセンサーが揃った。
最後のユニットの搭載も非常にスムーズに行なわれ,日没前には全84センサーの同時読み出しに成功した。当日は晴れ間は期待できない状態だったが,少し雲が薄くなった瞬間にドームスリットを開けてデータの取得を試みた。結果,84センサーでのファーストライトデータ取得に成功した。 雲があるため星数は少ないが,84枚全てのセンサーに星が写っていた。
センサーの隙間を埋めるために少し位置をずらして撮影(ディザリング)した6枚の画像では,隙間なく,直径9度の領域が撮影できていた。この2×3のディザリングは,トモエゴゼンカメラの基本となる撮影方法で,この設定で毎晩全天を撮影するという。
今回のQ4ユニット搭載により,トモエゴゼンカメラの全視野である約20平方度を一度に観測できるようになった。トモエゴゼンカメラは,2019年3月に地球接近小惑星の発見,4月には超新星の発見している。重力波望遠鏡LIGO/Virgoのからのアラートを受けた観測も始まっている。
研究グループは,これから数カ月かけてカメラの試験や観測・解析システムの整備を行ない,成果を量産できる強力なシステムを構築し,秋から本格運用を始める予定としている。