東芝,LiDARの分解能0.1°を実現

東芝デバイス&ストレージは,LiDARの長距離測定の解像度を向上させる計測アルゴリズム技術を開発した(ニュースリリース)。

車載向けLiDARにおいてノイズの影響を低減する手法として,平均化処理が用いられていたが,従来の手法では,長距離になった場合の精度維持や誤検出の除去に課題があった。

同社と東芝は,スマート平均化アルゴリズム(SAT)と呼ばれる計測回路技術と距離データの信頼度判断する技術を開発し,200mまでの長距離を高精度に測定することに成功した。一方,車載向けLiDARに求められる解像度にはさらなる改善の必要があった。

そこで同社は,SATの性能を向上させた「フレーム間スマート平均化アルゴリズム(I-SAT)」を開発し,長距離測距における解像度を改善した。従来のSATでは,単一のフレーム(時間軸)における平均化の結果を基にノイズの影響を低減していたが,単一のフレームの情報だけでは,解像度の向上に限界があり,複数のフレームの情報を利用することが求められる。

ただし,複数のフレームの情報を基に平均化を実行しようとすると,前のフレームの情報を保持しなければならないため,メモリの量が膨大になり,実装コストが増加してしまう。また,測距の対象が移動する場合,前フレームの情報を現フレームの情報と混同し,間違った結果を出力してしまう問題があった。

今回開発したI-SATでは,前フレームの測距データをそのまま保持するのではなく,測距結果のみを保持することで,メモリの使用量を削減する。また,前フレームの情報を利用する際,測距結果を枠として設定し,その枠の中にある現フレームのデータも出力データの候補として追加する。

そのため,前フレームと現フレームの情報を混同することなく,出力データの候補数を増やすことができ,解像度が改善したという。誤検出の除去においても,複数のフレームの測距結果を使用して信頼度判断を行なうことで,信頼性を向上させた。

このI-SATを用いることで,200mの長距離における解像度を同社グループの従来技術に比べ2倍以上改善し,車載向けLiDARに求められる空間分解能0.1°を実現した。同一解像度における測距可能距離は22%増大しながら,実装コストの増加は,従来技術から1%以下に抑えたという。

同社は今後,この技術のさらなる測距精度向上や実装化に向けた開発を進め,2020年までの実用化を目指すとしている。なお同社は,LiDARシステム向け半導体として,高感度な集積型光センサ(SiPM)の開発も進めている。

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