富士経済は,IoTやIoHなどをキーワードに拡大する,さまざまな業態の企業が提案する製造業デジタル化ソリューションの主軸となるツールやデバイスなど国内の製造業デジタル化関連市場を調査した。その結果を「2019年版先端デジタル製造技術・ソリューションビジネス総調査」にまとめた(ニュースリリース)。
ここでは製造業のデジタル化ソリューション事例取り上げ,中でも注目のベンダーの取り組みを詳細に分析している。また,AR・VR・MR,音声データなどの先進技術の活用状況,産業用ネットワーク・IoT通信規格など,製造業デジタル化に欠かせない技術の動向も整理している。
これによると,製造業においてデジタル化関連製品・ソリューションの提案と導入が活発化している。2018年の市場は前年比6.5%増の5398億円となった。今後もIoT-PF,IoH,ソフトウェア,コントローラー,センサーの各カテゴリーが堅調に伸び,2025年の市場は2018年比32.8%増の7168億円を予測する。
現状は生産設備と上位プラットフォームや分析システムとのIoTによる連携に関連するツールやデバイスが中心だが,今後は人の動きや作業結果をデジタル側に写し取り,さらにはデジタル側から人への情報の受け渡しを行なうIoH関連ソリューションが伸びるとみる。加えて,音声認識や映像認識技術の向上もIoH普及の追い風になると期待できるという。
また,現時点では限定的な制御運用技術(OT)とIoTプラットフォーム,IoH技術,そして各ソフトウェアの相互連携について,今後は各種仕様の標準化が進むと推測する。
それにより,情報の連携利用などが進展するため,製造業デジタル化ソリューションを提供する事業者からの提案の質向上や,ユーザーが導入しやすい環境が整備され,市場拡大の後押しになるとみる。
なお,製造業デジタル化ソリューションの提供事業者は,ITベンダー,システムインテグレーター(SI),ネットワークインテグレーター(NI),OT関連ベンダーなど多様化しており,それぞれがさまざまな付加価値化して納入しているため,製造業デジタル化ソリューション市場の規模は上記で算出した規模より大きいと予測している。