ソディックは,金属3Dプリンターによる加工では避けて通れない造形物内部の残留応力を抑制する技術「SRT工法」を開発し,特許を取得した(ニュースリリース)。
残留応力は,金属が溶融状態から固体に変化し,高温から常温に変化する時に金属内部に発生する応力で,粉末金属をレーザー光などで溶融・凝固して造形する金属3Dプリンターでは必ず発生する。この残留応力により造形物の寸法が狂ったり,割れたりすることは製作者の頭を悩ませてきた。
また,残留応力は造形物の大きさや形状・材質に大きく影響されるため,金属3Dプリンターで製作できる造形物を制限してきた。特にプラスチック成形を行なう金型部品では,硬さをコントロールするため炭素を多く含有したステンレス系合金が頻繁に使用されるが,この合金は残留応力の影響が著しく,金属3Dプリンターで造形できない事例が多く存在し,同社の解決すべき重要な課題のひとつだった。
今回,同社が開発したSRT工法は,金属3Dプリンターでの造形中に使用する工法で,プラスチック成形用の金型材料として多く使用されているステンレス系合金SUS420J2の大型金型部品(同社検証サイズ:幅248mm×長さ248mm×高さ42mm)の造形も可能となった。
SRT工法は,マルテンサイト変態という金属の結晶構造が変化するときに発生する体積変化を積極的に利用する技術で,これにより残留応力を抑制することができる。
同社は,今回開発したSRT工法を使用することにより,造形後の応力歪を1/10(社内評価造形形状)に抑制することが可能となり,また,同社の金属3Dプリンター製品すべてに使用できるため,プラスチック成形金型部品への造形適用範囲を大きく広げることができたとしている。なお,SRT工法の詳細については,4月12日にソディック本社/技術・研修センター(横浜市)で開催する「金属3Dプリンターによる成形活用セミナー」にて発表する。