トヨタ自動車(トヨタ)は,3月26日より,農地における土壌成分の調査において,土壌に含まれる成分をリアルタイムに見える化し,そのデータを活用した土壌診断と改良提案を行なう支援サービスの事業実証を開始した(ニュースリリース)。
このサービスは,農地内の土壌成分のバラツキを迅速に把握し,ムダ無く堆肥等の土壌改良剤を投入して的確な土づくりを行なうことで,作物の生産性向上や環境負荷低減への貢献を目指すもの。
同社は,データに基づいた栽培管理を行なうスマート農業技術に着目し,2017年8月から東京農工大学と共同で「リアルタイム土壌センシング」技術に関する研究・開発に着手し,その後2018年11月にかけて,愛知県の水田で同技術の有効性を検証してきた。
この「リアルタイム土壌センシング」は,地中10~15cmに差し込んだセンサーをトラクターでけん引(時速1~3km)しながら畑内を移動し,約30項目の土壌成分(窒素・リン・カリ)を推定する。リアルタイムで計測した分光データ(土中に光を当て,反射する光の波長を読み取ったもの)とGPSシステムによる位置情報を用いて解析し,迅速に畑内の土壌成分の偏りをマップ化する。
従来は農家が土をサンプリングし,1~2週間乾燥・粉砕させた後,分析機関が1~数カ月かけ土壌の要素を分析・診断し,土づくりをする。そのため,次の栽培までに土づくりが間に合わないことがあった。
しかし,このリアルタイム土壌センシングでは,サンプリングした分光データからすぐにマップを作製。マップ情報を数値化し,土壌診断と改良提案を行なえるため,最適な土づくりに十分な時間が確保できるという。この検証は2019年12月までを予定している。