美濃島知的光シンセサイザプロジェクトが終了

知的光シンセサイザプロジェクトを主導してきた美濃島薫氏

およそ5年半にわたって研究開発が進められてきた美濃島知的光シンセサイザプロジェクトは終了し,次の研究開発フェーズへと移る。このプロジェクトは科学技術振興機構が支援する探索型基礎研究事業(ERATO)の一環で取り組んできたもので,電気通信大学・情報理工学研究科・教授の美濃島薫氏を研究統括として,光コムの基礎と応用研究を進めてきた。

プロジェクトは協働研究と委託研究に分かれており,協働研究は3つのグループの体制で,美濃島氏をグループリーダーとする『知的時空間統合化グループ』,産業技術総合研究所・計量標準総合センター・物理計測標準研究部門・周波数計測研究グループ長の稲場肇氏をグループリーダーとする『周波数極限化グループ』,徳島大学・大学院社会産業理工学研究部機械科学系・教授の安井武史氏をグループリーダーとする『テラヘルツ・広帯域スペクトル操作グループ』がそれぞれ研究開発を行なってきた。

成果報告会

3月18日には電気通信大学において,このプロジェクトの成果報告会を実施し,高繰り返しファイバコムやデュアルコム光源を始めとする知的光シンセサイザの開発成果,超高速時間分解デュアルコム分光や超広帯域デュアルコム分光を始めとする革新的分光計測の開発成果,瞬時3次元イメージングやスキャンレス共焦点顕微鏡を始めとする革新的イメージングの開発成果などが紹介された。

このプロジェクトではこれまでに様々な成果が発表されており,最近では広い波長帯域と高いコヒーレンスを持ち,繰返し周波数が異なる二つの光コムを発生するデュアルコムファイバーレーザーの開発に成功している。

ポスターセッション

また,ネオアークは美濃島氏らと共同で,2台の光周波数コムを用いたデュアルコムによるファラデー効果測定装置を開発し,実用システムとして期待されている。同装置の現状の仕様だが,繰り返し周波数が約80MHz,開発中の光源波長が500~2000nm,波長分解能が0.1nm,ファラデー効果測定分解能が0.01degree,測定範囲が±25degree,最大発生磁場が±10kOeとなっている。

この日行なわれた成果報告会では,ポスターセッションも行なわれ,合計32件の研究成果に対して活発な議論が交わされていた。美濃島氏によれば,「ERATOプロジェクトとしての研究開発は終わるが,今後はテーマを絞ったかたちで研究開発を進めていく」とし,社会実装を目指した応用研究開発を加速させる方針だ。

ネオアークが製品化を進めるデュアルコム光源を用いるフェラデー効果計測システム

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