東北大ら,深紫外発光素子の高効率動作構造を解明

東北大学は,創光科学,名古屋大学,名城大学と共同で,深紫外(DUV)波長領域で動作するサファイア基板上に作製された窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)発光ダイオード(LED)(AlGaN LED)の高効率動作メカニズムを解明した(ニュースリリース)。

地球上には現在,安全な水を飲めない人々が約11億人おり,また,約26億人が清潔な公衆衛生が保たれていない環境において生活を余儀なくされている。

この状況を打開し,世界に貢献するためには,殺菌に必要な300nm以下のDUV波長領域において動作する高効率固体光源を低コストで実現し,広く利用されることが重要となる。DUV光源は太陽光より波長が短いことから,公衆衛生だけでなく高密度光記録や高速光無線通信など,幅広い応用分野にも活用が期待できる。

DUV光を発生する小型固体素子開発の主流は,AlGaN量子井戸を発光層とするLEDの開発で,これまでに日米をはじめ数多くの企業等が性能向上を報告してきた。その理由は,AlGaN混晶のバンドギャップエネルギーがDUV波長領域全体を覆っていることが挙げられる。

ここでAlGaNの結晶成長には,青色LEDを製造する際に用いられている,有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)法が用いられている。しかしながら,青色LEDのような高効率化や低コスト化がそれほど容易ではなく,これまでにAlGaN LEDの高効率化に向けた明確な指針もなかった。

今回,研究グループは,民生品化されたDUV光源の中でトップクラスの発光効率および素子寿命を持つAlGaN LEDの構造を電子顕微鏡を使って調べた。その結果,LEDの表面には特徴的な凹凸構造が形成されており,このうち稜線部分に強い発光が集中して観測されること,また,このような強い発光は低いエネルギーを持つ光子を放出していることを見出した。さらに,強い発光を生じるナノ領域に電流が集中する特異構造が形成されていることも発見した。

研究グループは,今回の研究で明らかになった発光効率を高める特異構造を積極的に制御することで,AlGaN LEDのさらなる高効率(省エネ)化が期待でき,これにより,医療・浄水・殺菌・消毒から高速光無線通信まで,幅広い応用分野における機器・装置の性能向上が目指せるとしている。

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