産総研,ニオイを識別するセンシング技術を開発

産業技術総合研究所(産総研)は,室内に妨害ガスがあっても特定のニオイを識別できるセンシング技術を開発した(ニュースリリース)。

住宅や自動車などの交通機関に関する業界などでは,生活に由来する不快なニオイを選択的に識別して換気と連動させる技術のニーズがあり,高度なニオイの識別技術が求められている。

これまで研究グループが開発したバルク応答型センサーは,一般的な半導体式センサーと同様に抵抗値からガス濃度が分かる。半導体式センサーとは対照的に検出できるガスの種類が少ないが,雰囲気中の湿度の影響を受けにくい。一方,一般的な半導体式センサーは,高湿度では識別能力が低下するものの,多様なガスの種類を検出できる。

今回,研究グループは,酸化物ナノ構造や表面触媒特性が異なる2種類のバルク応答型センサーと6種類の一般的な半導体式センサーを組み合わせたセンサーアレーを開発した。2種類のバルク応答型センサーをセンサーアレーに加えた効果を実証するため,室温(約20℃)のガスセンサー試料室(1L程度)にセンサーを設置した。

ヒト由来のガスとして報告されている4種類のガス種をニオイガスとして相対湿度60%の高湿度の合成空気に混合し,ガスセンサー試料室に500mL/minの流量で流した。また,妨害ガスとして,室内に存在するガス種を再現した31種ガスを混合した。

31種ガスの濃度は,0μg/m3,300μg/m3,600μg/m3,厚生労働省が定める室内総VOC濃度の暫定目標値の2倍以上である900μg/m3と変化させて測定した。センサーアレーで常時測定し,ニオイガス濃度が安定してセンサーシグナルがほぼ一定になったデータを用いてPCAを用いて解析した。

その結果,酸化物ナノ構造や表面触媒特性が異なる2種のバルク応答型センサーを加えたセンサーアレーでは,湿度の影響を受けない情報が加わったため識別能力が向上し,4種類全てを識別できた。

研究グループは,ニオイガスのポータブル測定器への搭載を想定して,小型基板内の電極位置により駆動温度を調整できるバルク応答型センサーを作製し,一般的な半導体式センサーを組み合わせて,小型セラミックスセンサーアレー素子を開発した。このセンサーアレー素子は持ち運びが可能であるため,任意の場所や時間に,リアルタイムでニオイのモニタリングを行なえる。

研究グループは,今後,開発した小型セラミックスセンサーアレー素子を搭載したポータブル測定器の開発を行なう。また,より実環境に近いデータの取得を行ない,機械学習と組み合わせることで実空間での室内空気質測定技術の開発を行ない,2022年頃の実用化を目指すとしている。

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