東北大ら,近接容量イメージセンサーを開発

東北大学と非接触検査装置のオー・エイチ・ティーは共同で,フラットパネル・電子回路基板の検査や生細胞のイメージング等に期待される,微小な容量分布を2次元で高精細に動画撮影が行なえる近接容量イメージセンサーを開発した(ニュースリリース)。

近年,高精細化が進むフラットパネルディスプレイや電子回路基板の検査工程では,不良配線の位置特定への要求が高まっている。また,ライフサイエンス,化学,農業分野などで,イオン濃度や生細胞の反応を可視化する要求が高まりつつある。非接触で高精度に近接容量の二次元分布を簡便に計測できれば,これらの分野における分析・管理の高効率化への貢献が期待される。

東北大学の研究グループでは,これまでに光を用いて二次元画像を捉える高性能・高機能な CMOSイメージセンサーの研究開発に取り組んできた。今回,オー・エイチ・ティーと共同で,最小加工寸法0.18µmの半導体集積回路製造技術を用いて作製した,毎秒60枚の動画撮影が行なえる256×256画素の近接容量イメージセンサーのプロトタイプチップを開発した。

開発した近接容量イメージセンサーでは,CMOSイメージセンサー研究開発で培ったノイズリダクション技術を応用し,計測対象に設置した参照電極に印加する電圧パルスと同期したノイズリダクション方法を新たに導入することで,0.1アットFの容量検出精度を達成した。

これにより,絶縁材料内の微弱な誘電率の差や微小な導体の分布,導体表面の僅かな凹凸の分布を高精細な動画で可視化することが可能になるという。

実際に,微細な配線パターンの断線部分を非接触で特定することや,生理食塩水の水分が蒸発して食塩が再結晶化する様子を光を用いず非破壊で捉えることなど,これまで観測できなかった微小な容量分布を高精細に可視化することを実証した。

従来の電子回路基板の検査では,不良配線の検出のみがなされていたが,このセンサーを使用すると不良配線の検出とその位置の特定ができるため,このセンサーを搭載した検査装置とリペア装置と組み合わせることで,検査・リペアの高効率化が図れるとしている。

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