名工大,SiCの電気特性をレーザーで非破壊検査

名古屋工業大学はSiC結晶を壊すことなく,内部の電気特性を測る手法を世界で初めて開発した(ニュースリリース)。

大電力の電圧変換に用いられるパワーデバイスとして,シリコンカーバイド(SiC)の採用が期待されている。大きな電力を制御するパワーデバイスを作るには,SiC結晶内部に均一に電気を流す特性を持たせなければならない。すでにSiC結晶によるパワーデバイスは次世代の新幹線などに採用されるなど,一部の分野で実用化が始まっており,大幅な消費電力の削減が報告されている。

しかしながら発電所から送電される電力など,さらに大きな電力の電圧変換するパワーデバイスを作るには,SiC結晶内部に均一に電気を流す特性を持たせなければならない。これまでその電気特性を測定するには,結晶を壊しながら行なう方法しかなかった。

今回研究グループは,励起光とプローブ光,2種類のレーザー光をマイクロメートルの大きさにして,SiC結晶に対して斜めに照射することにより,SiC結晶内部の電気特性を測る手法を世界で初めて開発した。この手法はSiC結晶を作った後,壊さずに電気特性の均一さを調べることに成功した。

研究グループは今回の研究により,今後SiCによる大電力パワーデバイスの開発を加速することができ,電力変換における消費電力の削減が期待できるとしている。

その他関連ニュース

  • 阪大ら,Ag-Si合金にパワー半導体接合材の適性発見 2024年09月11日
  • 阪大,青色半導体レーザーでAlN基板へ純銅皮膜形成 2024年09月10日
  • 芝浦工大ら,サブテラヘルツ波でコンクリートを透視 2024年08月08日
  • 秋田県立大,アボカドの表皮に光照射し食べ頃を予測 2024年06月17日
  • 阪大ら,X線回折法でGaN結晶中の3次元歪み場を検出 2024年06月13日
  • 阪大ら,高純度GaNは光りにくい理由が変わると解明 2024年06月10日
  • 【解説】環境配慮を意識した技術・製品開発へ―GaN成長技術にも有毒ガス排除の動き 2024年06月04日
  • CFD,大電流パワー半導体用光プローブ電流センサー開発
    CFD,大電流パワー半導体用光プローブ電流センサー開発 2024年04月19日