大日本印刷(DNP)は,食料自給率の向上や安定供給,食の安全性向上などを背景として,今後の伸びが期待される人工光を利用した植物工場向けLED照明「DNPフレキシブルLEDシート」の量産を開始し,本格的な販売を開始した(ニュースリリース)。
同社は,印刷技術を発展させたフィルム加工技術および微細加工技術を活用して,高い反射性から光を有効活用して農作物の光合成を促進するとともに,防汚性にも優れた「DNP反射フィルム リフレモ®」を提供している。今回,植物工場向けに,薄くて軽く,栽培装置の天面や側面などに設置可能なシートタイプの面発光LED照明「DNPフレキシブルLEDシート」の本格展開を開始した。高い反射性を持つDNPの反射フィルムと組み合わせて利用することで,農作物の育成向上が図れるとする。
この製品は,シート状のLED照明で<人工光利用型植物工場などの光源として使用できる。シートの厚みは約0.1mmと薄く,シートユニット1枚(560mm×390mmサイズ)の重量も100g未満と軽量でフレキシブル性(柔軟性)があるため,栽培装置の天面や側面など多様な場所への設置が容易。また,光量は照明の20cm直下で250μmol/m2/sの光量子束密度(PPFD:photosynthetic photon flux density)があり,面発光で光均一性にも優れているため,光源下の栽培物の育成ムラや葉先枯れの発生の軽減が期待されるという。
レタスやほうれん草などの葉物野菜の栽培にこの製品を使用した場合,従来の管状の蛍光灯・LED照明に比べて,栽培物の重量増や栽培期間の短縮など,生産性の向上が期待できる。例えば,管状のLED照明と比較した場合,1.5~2倍の収穫量が得られたという(同社調べ)。また,同社の反射フィルムを栽培棚の外周部に設置することで,光環境がさらに改善され,生育が向上したとしている。
同社は,植物工場向け栽培装置メーカーや植物工場の運営企業などに,この製品と反射フィルムを販売し,2021年までに年間25億円の売上を見込む。