大日本印刷(DNP)は,タブレット端末に電子ペンで入力する際のペン先の滑りを抑えて,書き心地を向上させるフィルムを開発した(ニュースリリース)。
文部科学省は2020年の学習指導要領改訂に合わせ,これからの社会で必要となる“主体的・対話的かつ深い学び”というアクティブ・ラーニングの視点に基づく授業の改善や,児童や生徒一人ひとりに応じた学習の充実を目的に,タブレット端末を用いたデジタル教科書の小中学校への導入を進めている。
現在の児童・生徒の学習では,紙と鉛筆で筆記することが一般的だが,デジタル教科書の普及が進むとタブレット端末に電子ペンで入力するケースが増加する。しかし,タブレット端末の画面はガラス製のため,教室内の蛍光灯や外の光が映り込んで見づらいほか,電子ペンが滑って文字が書きにくいという課題がある。
新製品は,フィルム表面の微細な形状を工夫することで,紙のノートに2B鉛筆で筆記した時と同様の摩擦力と筆記音を再現した。タブレット端末の画面上で電子ペンを動かしている時や止めた時も,紙と鉛筆で筆記した時の摩擦力とほぼ同じため,電子ペンが滑らずにしっかりと止めることができる。紙に鉛筆で書いた時と同様の“とめ・はね・はらい”などの表現が可能だという。
さらに,タブレット端末画面への蛍光灯などの光の映り込みを抑制し,画面の表示が見やすくなるという。表示画面に指先や手の跡などが付かず,さらさらとした良好な触り心地を実現。独自の材料開発及びコーティング技術によって,傷や汚れにも強い。洗剤や殺虫剤など,家庭で使われる薬品に対する耐久性も確認した。
今回DNPは,電子機器の教育での活用と効率的・効果的な学習支援を目的として,このフィルムの開発を行なった。東北大学や東京福祉大学との共同研究を進め,「効率的・効果的な学習支援」を目的に,学習場面に即した実証実験を実施して,その高い効果を確認したという。
同社は今後,電子タブレット端末などを扱うコンピュータ周辺機器メーカーなどに向けて今回開発したフィルムを提供し,2023年度までに年間で約8億円の売上を目指すとしている。