AGC,紫外線に強いポリカーボネートシートを開発

AGCは,高い耐候性と自己修復性を持つポリカーボネートシート「CARBOGLASS®LF」を開発した(ニュースリリース)。

ポリカーボネート(ポリカ)は,透明かつ耐衝撃性に優れることから防護フェンスや道路の遮音壁などに使われる一方で,紫外線を浴びると劣化(耐衝撃性の低下,変色)するという短所がある。

表面に紫外線吸収剤を添加させて保護層とした耐候グレード品も販売されているが,これらの製品は紫外線を長時間浴びると保護層が低分子量化し,紫外線がポリカに到達して劣化してしまう。

今回,同社が開発したポリカーボネートシートは,同社の開発した被塗物の寿命を延ばす高耐候性フッ素樹脂ルミフロン®をコート樹脂に用いており,以下の3つの特長を持つ。

 ・ 紫外線を長時間浴びても保護層の紫外線吸収能力が落ちないため,耐衝撃性と透明度を長期間維持できる
 ・ 時間の経過とともに微小な傷は自然消滅する「自己修復機能」をもつ
 ・ 熱曲げしても表面にクラックが生じないため,より自由な形状デザインを可能にする

具体的には,同製品に高出力の水銀ランプの光(紫外線)を3時間照射した際の耐衝撃性(衝撃吸収エネルギー)の変化をみると,ポリカシート単体(CARBOGLASS®クリア)や共押し品の耐衝撃性は照射前と比較して30%低下するのに対し,同製品の耐衝撃性は同条件の照射で10%程度しか低下しないという。

また,スチールウールで同製品のコート面に傷をつけた後、室温で放置すると傷が徐々になだらかになるという(1µm以下の傷で実証)。同社は今後,同製品を遮音壁やフェンスなどの屋外設置物件向けに販売し,2019年より量産を開始するとしている。

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