リコー,HUD用プロジェクションユニットを開発

リコーインダストリアルソリューションズは,センシング技術を中心とした走行安全支援技術,及び車室内エレクトロニクス技術の進展に伴い,革新が求められる車載HMI分野に向けてレーザースキャン方式車載HUD用プロジェクションユニットを開発した(ニュースリリース)。

HMIは,人間と機械が情報をやり取りするための手段,及びそのための装置・ソフトウェア。HUDは,車速やナビゲーションなどの情報をフロントウインドウに投影するもの。

従来のカーナビゲーションシステムやメーターに比べ,ドライバーの視線移動を減らすことで,運転時の疲労軽減やよそ見による事故のリスクを低減するメリットがある。さらに,今後は車両に設置された様々なセンサーとの連携によるドライバーへの高度な注意喚起やAR技術の実現が期待されている。

同社は,そのような高度化するニーズに応えるため,複写機の開発・生産を通じて培われた同社のレーザー描画技術,及び車載HUD用途で新たに自社開発した2軸MEMSスキャナーを用い,運転環境に埋もれることのない色彩表現でドライバーへの注意喚起を効果的に行なうプロジェクションユニットの開発に成功した。

今回採用したレーザースキャン方式は,TFT方式に比べ,高コントラスト(10,000:1以上),かつ,広色域の色表現(NTSC比:約190%)が可能であり,同じ輝度でもより明るさを感じやすい特性がある。

これにより,注意喚起やAR表現の阻害要因であるポストカード(TFT方式のHUDで,主に低照度環境時に見える,画面形状を反映したバックライトの漏れ光)の影響を軽減し,運転状況や人間特性を考慮した独自のアルゴリズムも活用することで,重要な情報を的確に伝達することができる。

さらに,同社は,レーザースキャン方式特有の課題である画質と車載信頼性に対して,マイクロレンズ技術を応用したスクリーンと2軸MEMSスキャナーを内製で独自開発を行なうことにより,高画質・高信頼性を実現したという。

同社は今後,このプロジェクションユニットの2020年以降の量産開始に向け,製品化を加速していくとしている。

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