富士キメラ総研は,「iPhone」などのAMOLED搭載製品の増加でLCDとOLEDの競合が激化しているディスプレイ関連のデバイス市場を調査し,その結果を「2018 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望(上巻)」にまとめた(ニュースリリース)。
それによると,大型TFT市場は縮小が続いていたが,2017年はTV向けの単価が上昇したことにより拡大に転じた。2018年はノートPC向けが法人の買い替え需要により伸長するものの,PCモニター・AIO向け,タブレット向けが低調であることから再びマイナスに転じるとみる。以降はパブリック・サイネージ向け,業務用モニター向けが堅調に拡大するものの,市場規模の大きいTV向けやPCモニター・AIO向けなどが縮小することで,縮小が続くとみる。
中小型TFTは主力のスマートフォン向けの需要の飽和に加え,AMOLED採用拡大などの影響を受け,2017年の市場は縮小した。2018年以降もスマートフォンでAMOLED採用は増加するとみており,引き続き市場は縮小を予想する。今後は市場縮小が続くとみられるものの,スマートウォッチ・ヘルスケアバンド向け,HMD・スマートグラス向け,車載ディスプレー向け,産業用・汎用ディスプレー向けで成長が期待されるという。
大型AMOLEDではTV向けで低コスト化が進んでおり,OLED-TVを製品化するメーカーが増加していることから市場は拡大していくとみる。今後はノートPC向け,PCモニター・AIO向けも伸長するとみる。
中小型AMOLEDはスマートフォン向けを中心に市場拡大が続いている。2017年は「iPhone X」にフレキシブルAMOLEDが採用され,市場が大幅に拡大した。2018年も引き続き,「Galaxy」や「iPhone」でAMOLEDの採用が広がる一方,中国スマートフォンブランドでの採用はやや弱まっているという。新規用途として車載ディスプレー用の需要が増加しており,車室内の高級感を演出する観点からニーズが高く,今後高級車を中心に採用が増加するとみる。
2016年に立ち上がったHMDの市場は,2017年にゲーム機やPCへの接続型を中心に拡大し,2018年のスタンドアロン型の新機種の投入によりさらに伸長するとみる。スマートグラスは2018年にサンプル評価を行なっていた企業が本格的な導入を開始しており,BtoB向けを中心に拡大を見込む。
HMD向けのFPDには主にAMOLEDが採用されている。コントラストと応答性でLCDより優位に立つが,供給メーカーが限られており,高価であることから安価なLTPS-TFTの需要が増加しているという。
スマートグラスでは小型化が可能なマイクロディスプレーが採用されている。高視野角や高解像度ニーズが高まっており,パネルのコスト,サイズアップを避けるため高精細化や,レンズ屈折率の向上などが求められるとしている。